[私人間における人権]
■私人間における人権
 私人間における人権保障
  (1)人権規定の私人間適用 社会的権力との関係
  (2)法律構成 無効力説、直接適用説、間接適用説
無効力説 公法関係と私法関係は原理が異なるということを根拠として、憲法に特別の規定がない限りは憲法の人権保障は私人相互間では無関係とする。
直接適用説 憲法の定立する法原理はあらゆる領域で全面的に尊重されるべきである。
間接適用説 憲法の人権保障規定は、私人間の関係には直接には適用されないけれども、私法における民法の90条、709条等の一般条項の解釈を通じて間接的に及ぼしていくべきとする説。
国家同視説
(米国判例法)
芦部説。
一般論として、間接適用説を採用するも、私的団体ではあっても国家と機能的、構造的に同一視できる場合には直接適用すべきだとする説。
私的な人権侵害には、(a)法律行為に基づく場合、(b)事実行為に基づくが、その事実行為自体が法令・就業規則・学則等の概括的な条項または文言を根拠として行われた場合、(c)事実行為に基づく場合に分類される。そして、(a)、(b)の場合には間接適用説が、(c)の場合には国家同視説が適用されるとする。

  (3)問題となった事件 企業の採用許否、男女別定年制(三菱樹脂事件、日産自動車事件)、大学の退学処分(昭和女子大事件)
  (4)国の私法上の行為に憲法の直接適用があるか(百里基地訴訟)