[権力分立]
■権力分立の原理
  (1) 意義、趣旨
 国家権力が単一の国家機関に集中すると、権力が濫用され、国民の権利・自由が侵されるおそれがある。そこで、国家の諸作用を性質に応じて立法・行政・司法というように区別し、それを異なる機関に担当させるよう分離し、相互に抑制と均衡を持たせる制度を設けた。この原理を権力分立の原理という。
⇒「区別・分離」「抑制と均衡」⇒国民の権利自由の保護
自由主義、民主主義との関係 
  (2) 権力分立の現代的変容 行政国家、政党国家、司法国家
行政国家現象 専門技術性、迅速円滑な行政対応という人権保障の実質化の要請から行政権の権限増大、委任立法の増大、内閣提出法案の増大という行政国家現象が起こる。 そこで、行政国家現象の弊害に対処するために、(1)国会による民主的コントロールとして議会主義の復権、(2)裁判所による自由主義的コントロールとして違憲立法審査権(81条)の強化、(3)地方自治における団体自治の強化などが志向される。
政党国家現象 現代においては、国民と議会を媒介する組織として政党が発達し、政党が国家意思の形成に事実上主導的な役割を演じている。このような現象を政党国家現象という。政党国家現象によって、議会と政府との関係が緊張関係というよりも協力関係に変容するに至っている。
司法国家現象法の支配のもとで、裁判所による違憲審査権の行使によって、司法権が議会・政府の活動をコントロールするという現象。