[公共の福祉]
「人権は不可侵のものとされているわよね」
「そうなんだけど、人権といえどもだよ、社会生活の上で成り立つもの。だから、具体的に各人権を行使するという場面においては、それぞれの人権が衝突するという場面も当然出てくるよ。
そういうときに、相互の利益を調整する原理というものが求められるよね」
「人権の持っている内在的制約ね」
「そう。全ての人権は、その内在的制約に服するね」
「憲法の条文でいうと、11条や13条に規定されている『公共の福祉』というのは、この原理を示しているわけよね」
「そうだね。ここで、同じ『公共の福祉』とは言っても、22条や29条のような経済的自由権における『公共の福祉』というものは、ニュアンスが違うね」
「そうね。経済的自由権というものは、そもそも、福祉などの国家理念の実現のために特別の制約に服するんだって考えられているわよね。
そういうことを考えると、経済的自由権における『公共の福祉』というのは特別の制約に服するんだっていうことを示したものといえるわ」
「内在的な制約ではなくてね」
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