[人]
■私権の享有主体
+■権利能力
  @権利能力の始期と終期、その判断基準
  A胎児についての特則(§721、886、965の法律構成) cf.停止条件説と解除条件説の具体的相違

[Table] 出生時期の判断基準:『私権の享有は出生に始まる』(§1の3)
全部露出説(通説)胎児が母体から全部露出したとき。
一部露出説刑法における通説。

[Table] 胎児の権利能力(例外)
┏━§1の3の例外━┳━§721(損賠)
┃               ┣━§886(相続)
┃                ┗━§965(遺贈)
┗━━→胎児が贈与を受けることは出来ない。

[Table] 胎児を例外的に生まれたとみなす場合の法律構成
停止条件説(判例:人格遡及説、大判昭7.10.6・阪神電鉄事件)「停止条件」というのは、将来一定の条件が発生するまで法律効果の発生を停止しておくというもの。
つまり、胎児が生きて生まれるときに、出生したということで取得した権利能力が相続開始や不法行為の時にさかのぼって存在するとする説。
解除条件説(制限人格説)「解除条件」というのは、今すぐに効力を発生させるものの、将来、一定の条件が発生した場合には、既に発生している効力が解除されて、効力が遡って失われるというもの。
胎児にも制限的な権利能力があるが、胎児が死亡して出生した場合には取得していた権利能力が遡って消滅したものとされるのだとする説。
[具体的相違]
胎児の間に法定代理人(S824,S826)が存在するか?
┃
┣━(NO)━━━━━━停止条件説
┗━(YES)━━━━━ 解除条件説          

+■制限行為能力と意思能力
  @制限能力者制度の趣旨
  A制限行為能力者が意思能力を欠いていた場合の法律行為の効力
   cf.取消と無効
  B§20の『詐術』の意味

[Table] 制限能力者制度の趣旨
意思無能力者のした法律行為━→有効な意思がない━→無効
                            ┃
                                                    ↓
       ┏━━意思無能力の判断方法 ←━━━意思無能力者の保護
             ┃
              ↓
     個別の行為毎に判断━┓
                              ┃
                              ↓
         ┏━━━━困難=保護に十分ではない。
         ┃    (証明・判断)
                  ↓
      「行為能力制度」
      一般的・恒常的に能力不十分と見られるものとして定型化

[Table] §20の『詐術』の意味
制限能力者━━━━→法律行為を取り消すことができる(4条)  × ←━┓
    ┃                                                            ┃
    ┃                                                            ┃
    ┗━━━━→詐術を用いて能力者であるとの誤信させる━━━━━━┛
         ┃
         ┃
        黙秘だけでは×
         ┃
                  ┃
                  ┃
                  ┗━積極的に詐欺の手段を用いた場合に限定
             ┃
                          ┗━→相手方保護不十分
                   ┃
                                      ↓
    ┏━━━━━━━ 黙秘も一定の場合には「詐術」
    ┃ ┏━具体的には黙秘が行動と相まって、相手方が能力者であると誤信させ、
    ┗━┫ もしくは能力者であるとの誤信を強めるという事情が認められる時には
      ┗━黙秘も「詐術」にあたる

+■失踪宣告
  @直接取得者が悪意の場合の返還義務の範囲
  A§32T但書の『善意』の意義 cf.一方当事者の善意で足りるか
   財産行為の場合と婚姻の場合 善意者からの転得者が悪意であった場合