[代理制度]
■代理制度
+■代理権 授権行為
  (A)授権行為の法的性質 無名契約説・単独行為説・事務処理契約説
  (B)内部契約と授権行為の関係 有因か無因か/内部契約が取消・無効の場合にすでになされた代理行為の効力

[Table] 代理権授与行為の法的性質 
代理権━━━→代理人に不利益を与えない━━━→単独行為?
                        ┃
                                                ↓
       ┏━━私的自治に反する←━━━━知らない間に代理人に
           ┃
              ↓
  双方の合意があって代理権が授与される
   ┃
      ┣━→[無名契約説]+有因←━━代理権は他の契約の目的を達成するため
      ┃
      ┗━→[事務管理契約説]=代理権は事務処理契約から直接発生

[Table] 授権行為取消の効果
(A)本人が取消した場合
取消の効果=法律行為の遡及的無効(121条)←━━┓
┃                               ┃
┃                                           ┃
┃                   表意者保護
┗━→ 代理行為の相手方
      ┃
            ┗━→ 表見代理(109条類推)による保護

(B)代理人が取消した場合
┏━代理権の基礎となる事務処理契約(委任契約)
┃  ┃
┃   ┗━→原則通り遡及的無効
┃
┗━ 代理権 ━━→遡及的無効としなくとも代理人に不都合なし
            ↑            ┃
          代理権は代理人を拘束しない   ┃
                                                  ↓
                        将来効


+■顕名
  @直接本人名義の場合の効果
  A顕名に対する信頼と表見代理 直接本人名義で越権行為をした場合
   cf.判例 相手方が本人自身の行為であると信じたことにつき正当な理由がある場合⇒§110類推適用

+■代理行為
  @代理人の権限濫用 §93但書類推説、信義則説/転得者の保護 §94U類推説など
  A代理人の不法行為 本人に責任は生じるか/法人の場合 §44と§715の関係
  B代理行為の瑕疵 cf.原則:§101T⇒§101Uの拡張
  C代理と詐欺 
   @相手方が代理人を欺罔した場合
   A代理人が相手方を欺罔した場合 cf.判例⇒§101T説 通説⇒§96T説
   B本人が相手方を欺罔した場合
   C相手方が本人を欺罔した場合

[Table] 直接本人名で代理行為をした場合
┏━代理の他人効の本質=代理権授与
┃
┗━顕名━━━→ 効果の帰属先明確化 ←━━相手方保護
            ┃
                        ┃
            ↓
     ┏━━━本人名の代理行為でも帰属先は明確
          ┃
          ↓
   特段の事情ない限り有効
     ┃┃
       本人か代理人かの人柄が重要になる場合など

[Table] 代理人の権限濫用
  代理行為として意思表示=本人の為にすることを示す必要←━━━┓
                                    ┃
                                                                ┃
                  ┏━━━本人の利益をはかる必要なし  ←━━━━┛
                  ┃
                  ↓
     代理人が代理人の利益のために代理行為━━━━━━━━┓
         ┃┃                                        ┃
            (原則) 代理行為の要件に欠けず                     ┃
   ┏━━━     法律行為の効果は有効                       ┃
      ┃                      ↑                              ┃
      ↓                      ┃                              ┃
  本人には酷                ┃                              ┃
                    表示と効果意思との間に不一致なし━━━━━┫
                                                              ┃
 ┏━効果帰属させる意思と自己の利益をはかる効果意思 ━━━━━┛
 ┃
 ┗━━→心裡留保類似(93条但書)
                 ↓
      相手方が悪意なら無効+本人が立証責任

[Table] 代理行為の瑕疵
代理行為の瑕疵━━━→代理人につきこれを決する(101条1項)
               ↓
      ┏━━━━相手方が心裡留保した場合
      ↓
  本人は相手方に法律行為の有効を主張可能
      ↓
    本人=悪意の場合━━━━━━━━━┓
      ↓                            ┃
    本人保護の必要性なし              ┃
                                    ↓
代理人をコントロールしうる可能性 =「本人ノ指図」(101条2項)ある場合も

■無権代理
+■無権代理と表見代理
  @表見代理の本質 有権代理説、無権代理説
  A表見代理が成立する場合の§117責任追及の可否 表見代理優先説、自由選択説
  B§117U『過失』の意義 cf.補充責任とすると重過失と読み替える必要が生じる。
[Table] 無権代理と表見代理
無権代理の責任=表見代理が成立しないときの補充的規定?
         ┃┃
┏━━━━━多くの場合、相手方が善意・無過失の要件を満たさない
┃
┗━→無権代理成立せず → 無権代理制度は機能しない?
                  ┃
                                    ↓
          ┏━━━二つの制度は要件・効果が異なる
          ┃  
                    ↓
      表見代理は証明が難しい
          ↓
   相手方に証明責任を負わせるのは妥当ではない
          ↓
┏━━━━証明しやすいほうを選択させるべき
┃     
┗━→無権代理人が、表見代理の成立を証明しても責任あり←━┓
                                                          ┃
      表見代理制度は無権代理人の責任を免れさせるための制度ではない


+■無権代理と相続
  @無権代理人が本人の地位を取得した場合 追認拒絶の可否 
  A本人が無権代理人の地位を取得した場合 追認拒絶の可否、§117責任の承継
  B相続人がまず無権代理人を相続し次いで本人を相続した場合、    相続人がまず本人を相続し次いで無権代理人を相続した場合
  C共同相続 無権代理人が本人を他の相続人とともに共同相続した場合の処理
  D無権代理人が後見人に就職した場合
  E本人が追認拒絶後、無権代理人が本人を相続した場合 cf.判例は追認拒絶で確定
■表見代理
+■代理権授与表示の表見代理(§109)
  @白紙委任状の白地補充の濫用 被交付者の濫用の場合、転得者の濫用の場合
   cf.相手方保護の要請・本人利益保護の要請の調和 直接型・間接型 非委任事項濫用型・委任事項濫用型
  A授権行為の取消と授権表示

+■権限踰越の表見代理(§110)
  @基本代理権 事実行為、公法上の行為(登記申請行為等)、法定代理権も基本代理権たりうるか
  A第三者の範囲 転得者も含むか
  B日常家事(§761)と表見代理 日常家事の意義、範囲 §761は夫婦相互間の法定代理を定めたものか
   この法定代理権を基本権限として§110を適用できるか
   cf.妻の土地売却行為⇒日常家事あたらない⇒§110 ?
  C使者の場合 表見代理類推説、錯誤規定適用説
  D無権代理追認後の無権代理行為の処理
  E表見代理規定の重畳的用の可否



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