[43条の目的の範囲]

 「確認だけど、法人っていうのは目的の範囲内でしか権利能力を持たないのよね(43条)。
そうすると、例えば、法人の理事なんかが不法行為をした場合に、法人に賠償責任は認められるのかしらねぇ。」
 「ねぇって、ねぇ、理事が不法行為をした場合には法人に賠償責任を負うことが規定されているじゃぁない(44条)。」
 「そうじゃぁなくて、つまりは、法人の負うという損害賠償責任の法的な性質のことよ。」
 「法人は社会的実体だけど、法人のままでは活動できないわけで、法人の行為っていうのは理事の行動を通して実現されるわけだよね。
その理事が不法行為を行ってしまう場合があるわけでしょ。
それで、法人が理事が行った不法行為は知らないなんてことは相手方の保護に失するね。
だから、法人の権利能力の範囲は目的の範囲に限定されはするんだけど、理事が不法行為を行った場合には、その限度で法人に不法行為能力が認められるって考えられるね。」