[片面的共同正犯]
共同正犯者が一部の実行行為しか行っていなくても正犯者として全部の責任を負うという「一部実行・全部責任の原則」を負うのは、各共同者が相互に各行為を利用し補充し合ったという物理的共同を行ったということもさることながら、心理的幇助を行って心理的影響を及ぼし合うことによっても、結果発生の蓋然性を高めたからに他なりません。 とするならば、「共同して犯罪を実行」したという共同行為の本質的部分は意思の連絡だと言えます。
従って、そのような意思の連絡を欠く片面的共同正犯は60条の共同正犯と考えることはできないでしょう。
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