[主観的違法要素]
目的を欠く目的犯→処罰できない
∴ 主観的事情を構成要件の段階で
考慮せざるを得ない
↓
主観的事情=違法要素の必然性なし
∴ 責任要素とすれば足りる
+
主観的違法要素の肯定
→ 違法性と責任の不明確化
目的を欠いている目的犯を処罰することが出来ないということからも、主観的事情を構成要件の段階で考慮しなければなりません。
この点については、行為者の主観面に属する要素であって、違法性の存否・程度に影響を及ぼすものを認めようという主観的違法性論という考え方があります。
しかし、目的犯の目的というものも客観化することが可能です。そうすると、故意についても、これを客観化して、故意とは結果発生の客観的危険の認識と結果発生への意欲を意味すると考えることが出来ます。そして、故意・過失といった主観的要素は,あくまで責任要素です。
つまり、主観的事情は違法性要素であるという必要性はなく、責任要素の一部であって、これらを構成要件要素として認める必要はあるけれども、客観的である違法性の判断の対象とはならないというべきでしょう。もし、主観的違法要素というようなものを認めるということになりますと、違法性を過度に主観化してしまうことになり、違法性と責任との区別の垣根が取り払われてしまうことになります。
従って、主観的違法要素というものは認めるべきではないでしょう。
主観的違法要素 | 根拠学説 | 理由 |
不要説 | 法益侵害説 | 処罰に値する法益侵害の結果の有無の判断にあたっては主観を問題とする必要がない。 |
必要説 | 規範違反説 | 主観を判断しなければ、違法か否か判断できない。 |
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