[仮定的因果関係]
Aが車でXをひいた。しかし、仮にAがひかなくても、後続のBが車でひいていたであろうと思われる。この場合に仮定的判断を加えて因果関係を否定する必要は?

条件関係公式 ━━→ Aの行為とXの死は関係なし?
                ↓
           現実に結果を引き起こした行為に
           因果関係を認めるのが妥当  ━┓
                          ┃
現実に生じた結果から出発して            ┃
因果関係の有無を判断                ┃
  ┃                       ┃
  ┃                       ┃
  ┃                       ┃
  ┃                       ┃
  ┗━→ 結果から出る因果の糸はXにしか     ┃
      通じていない         ━━━━━┫
                          ┃
                          ↓
          仮定的判断を加えて因果関係を否定する必要性なし

 この場合には、条件関係の公式から、現にある行為によって結果が生じたけれども仮にその行為がなかったとしても、他の事情から同じ結果を生じただろうと認められるという仮定的因果関係を肯定するとAの行為とXの死は関係がないともいえそうです。
 しかし、そもそも、条件関係があるかどうかということは刑法的評価の対象として現実に生じた結果から出発して因果関係の有無を判断するべきです。そして、その結果から出る因果の糸はXにしか通じていません。
 従って、このような場合、仮定的判断を加えて因果関係を否定する必要性はないというべきでしょう。