[委託者と第三者異議の訴え]
問屋の一般債権者が問屋が委託者のために保管する委託物に対して強制執行による差押をしてきたというような場合に、問屋に物品を委託している委託者が第三者異議の訴えを提起することは可能なのでしょうか。
まず、このような第三者異議の訴えが認められるためには、問屋のもとにある物品の所有権が委託者にあるということが必要になります(民執38条1項)。
しかし、問屋は自己の名をもって委託者のために取引を行いますので、形式的には問屋のもとにある物品は委託者のために保管しているとはいえ問屋に所有権があります。そうすると、委託者は第三者異議の訴えを提起することが出来なくなってしまいます。
これでは、委託者の利益を害することになってしまい妥当だとは言えません。
この点、問屋の営業においては本来は委託者に帰属するべき物品が問屋のもとにあるということは一般的十分考えられる範囲のことであるといえます。従って、問屋の一般債権者はこのような問屋のもとにある委託者に帰属するべき物品に対してまで債権の担保と期待することは出来ないというべきでしょう。
よって、委託者は第三者異議の訴えを提起することが出来ると考えられます。
【問屋の地位】第552条
問屋ハ他人ノ為メニ為シタル販売又ハ買入ニ因り相手方ニ対シテ目ラ権利ヲ得義務ヲ負フ
(2)問屋ト委託者トノ間ニ於テハ本章ノ規定ノ外委任及ヒ代理ニ関スル規定ヲ準用ス
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