[高価な品についての運送人の悪意]
運送品が高価品の場合に、その種類や価額について明告がなければ運送人は責任を負いません(578条)。
それでは、運送人が高価な品であるということを知っていたというような場合にはどうなるのでしょうか。
この点、578条が高価品について、その種類や価額の明告なければ責任を負わないとした趣旨は、そのような明告があればふさわしい方法によって運送を行うことが出来たのに、そのような機会を与えられなかったにもかかわらず、運送人に損害を負わすということから運送人を保護することにあるわけです。
従って、運送人が運送品が高価品であることを知っていたという場合には、高価品にふさわしい運送方法を採用することは可能であったわけですから、578条は適用されず損害賠償責任を負うと考えるべきでしょう。
[高価品についての寅任】第578条
貨幣、有価証券其他ノ高価品ニ付テハ荷送人力運送ヲ委託スルニ当タリ其種類及ヒ価額ヲ明告シタルニ非サレハ運送人ハ損害賠償ノ青ニ任セス
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