「自動車検問」
自動車検問とは、警察官が犯罪の予防検挙のために、走行中の自動車を停止させ、当該自動車の運転者等に対して質問を行うことをいう。
この自動車検問は目的に応じて、@緊急配備活動としての検問、A警戒検問、B交通検問の3種類に分類できる。
不審事由を前提としない無差別一斉検問が許容されるのだろうか?
不審事由に先行する自動車検問は明文の規定がないために違法となるのではないかが問題となる。
しかし、現在の自動車利用の発達による人身の危険の増大などの交通事情を考えると自動車検問は必要といえる。
加えて、確かに自動車の利用者へのプライバシー保護を考慮する必要はあるが、自動車の利用者のプライバシーが歩行者のプライバシーよりも厚く認められるという理由はない。この点、警察法2条1項を根拠に自動車検問が許されると考える見解もある。しかし、警察法は組織法であり具体的活動の根拠とすることは困難である。
従って、自動車検問は、警職法2条1項による職務質問の前提として認められると考える。
すなわち、自動車の場合においては、停止させなければ職務質問の要件である不審事由の存否を確認することは不可能であり、従って、警職法2条1項は職務質問の要件の存否を書き任するために、警察官が走行中の自動車を停車させる権限をも与えていると解するべきである(下級審判例)。
但し、任意とははいえ、一定程度の制約を加えることになるため、任意捜査の原則を及ぼすべきである。
すなわち、交通違反・犯罪の多発地域で(場所)、交通違反・犯罪の予防・検挙のため(目的)、短時間の停止と必要な事項の質問にとどめる(方法)という場合に限って、任意という範囲内で認められると解する。
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