[職務質問の限界]
「警職法2条1項では不審者を『停止させて質問することができる』っていう具合に警察官に停止権限与えているわ。
でも、同じく3項では、たとえ職務質問の目的でも『刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄の拘束』をしてはならないって言っている。
停止させることは出来るけど、身柄の拘束はいけないのよね。
それじぁ、職務質問のための停止では、どの程度までの有形力の行使が許されるのかしら?」
「職務質問のための停止に伴う有形力行使の限界の問題だね。」
「そう、その限界の問題よ。」
「停止行為っていうのは原則として任意の手段として行使されなければいけないよね。ということは、『停止させて』っていう文言は3項との関係からすれば、強制処分には当たらない程度の有形力の行使を認めるていう趣旨だって理解できるね。」
「任意処分なんだから相手方の意思に反して停止させるなんてことは全く言語道断、けしからん、なんて考え方もあるけど。」
「あのさぁ、そうやって路上で押し問答なんかすると、警察官の頭のモヤモヤは深まっちゃうよね。そのモヤモヤはウヤムヤになんてことになると犯罪の予防・早期発見を目的とするっていう警察官の責務(警職法1条)を全うすることはできなくなるよ。」
「そうよね。
認められるとしても、具体的には?」
「@重大な犯罪を犯したと疑われる者について、Aその容疑が極めて濃厚で、緊急逮捕も不可能ではないが、なお慎重を期するような場合には、例外的に「身柄の拘束」に至らない程度で認められるってことになるだろうね。」
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