抵当権
- 抵当権の効力は抵当不動産の従物にも及ぶ[最判平2.4.19]。
- 抵当不動産の抵当権の登記が具備されていれば、従物について別個に対抗要件を具備しなくとも、従物にも抵当権の効力が及ぶ[最判昭44.3.28]。
- 建物の抵当権の効力は、原則として、借地権にも及ぶ[最判昭40.5.4]。
- 買戻特約付売買の目的不動産に抵当権が設定されていた場合、買主が買戻権の行使によって取得した買戻代金債権についても抵当権者は物上代位権を行使できる[最判平11.11.30]。
- 「304条1項の趣旨目的に照らすと、同項の『払渡又ハ引渡』には債権譲渡は含まれず、抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるものと解するのが相当である[最判平10.1.30]。」
- 「抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自動債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできない[最判平13.3.13]」
- 「抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得すべき転賃貸料債権について物上代位権を行使することができない[最決平12.4.14]」
- 競売前に先順位抵当権が解除により消滅したのちに、後順位抵当権者による競売がなされた場合に法定地上権が成立する[最判平19.7.6]。
- 抵当権者が利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、原則として、満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができる[375条1項本文]。
- 抵当権者が遅延損害金請求権などを有する場合には、抵当権者はその最後の2年分についても抵当権を行使できる[375条2項本文]。但し、利息その他の定期金と通算して2年分を超えることができない[375条2項ただし書]。
法定地上権
法定地上権成立の要件
- 抵当権設定当時、建物が存在していたこと
- 抵当権設定当時、土地・建物が同一所有者だったこと
- 土地・建物の一方または双方に抵当権が設定されていること
- 競売が行われて、土地と建物が別々の所有者となったこと
建物に一番抵当権が設定された当時は土地と建物の所有者が異なっていたが、二番抵当権が設定された時には土地と建物の所有者が同一となり、一番抵当権者による競売が行われたときでも法定地上権は成立する[大判昭14.7.26]。建物に抵当権を設定した一番抵当権者にとって、法定地上権が成立しても、建物の価値は上がるので困ることはない。
土地への抵当権の設定後に建物が建築された場合、抵当権者は土地とともに建物を競売することができる[389条1項]。なお、土地と建物との一括競売は任意的。
「所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後、右建物が取り壊され、右土地上に新たに建物が建築された場合には、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権とどう順位の共同抵当権の設定を受けたとき等特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しない」[最判平9.2.14]
単一所有者の土地上に共有の建物があり、当該土地に抵当権が設定された場合、競売の結果、法定地上権が成立する[最判昭46.12.21]。
根抵当権
根抵当権の元本の確定前に、被担保債権の範囲を変更するには、後順位の抵当権その他の第三者の承諾を得ることは必要ない[398条の7第1項前段]。
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posted by N.T.Vita brevis, ars longa. Omnia vincit Amor.