譲渡担保

譲渡担保

債務者または第三者[物上保証人]が、債権担保のため、財産権を法律形式上債権者に譲渡し、信用の授受を債権・債務の形式で残しておくもの。

譲渡担保の実行において競売を必要としない。

不動産の譲渡担保において、債権者はその実行に際して精算義務を負う。

「不動産を目的とする譲渡担保契約において、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合には、債権者は、右譲渡担保契約がいわゆる帰属精算型であると処分精算型であるとを問わず、目的物を処分する権能を取得するから、原則として、譲受人は目的物の所有権を確定的に取得し、債務者は、清算金がある場合に債権者に対してその支払を求めることができるにとどまり、残債務を弁済して目的物を受け戻すことはできなくなるものと解するのが相当である[略]。この理は、譲渡を受けた第三者がいわゆる背信的悪意者に当たる場合であっても異なるところではない。けだし、そのように解さないと、権利関係の確定しない状態が続くばかりでなく、譲受人が背徳的悪意者に当たるかどうかを確知し得る立場にあるとは限らない債権者に、不測の損害を被らせるおそれを生ずるからである。」[最判平6.2.22]

集合動産の譲渡担保において、債権者が譲渡担保の設定に際して占有改定の方法により現に存する動産の占有を取得した場合、その対抗要件具備の効力は、その構成部分が変動したとしても、集合物としての同一性が損なわれない限り、新たにその構成部分となった動産にも及ぶ。[最判昭62.11.10]

集合動産の譲渡担保について、その種類、所在場所および量的範囲を指定することにより目的物の範囲が特定できるという要件の下に有効となる[最判昭54.2.15]。

構成部分の変動する集合動産を目的とする譲渡担保においては、集合物の内容が譲渡担保設定者の営業活動を通じて当然に変動することが予定されているから、譲渡担保設定者には、その通常の営業の範囲内において譲渡担保の目的を構成する動産を処分する権限が付与されている。[最判平18.7.20]

集合動産の譲渡担保において、設定者がその目的物である動産について通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合、保管場所から搬出されるなどして当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められる場合でない限り、当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することはできない。[最判平18.7.20]

債権発生の可能性の高低は、将来債権の譲渡の有効性を左右しない。[最判平11.1.29]

将来発生する債権の譲渡においては、その発生する期間の始期・終期を定めておく必要がある。[最判平11.1.29]

集合債権の譲渡担保において、当該譲渡につき譲渡人から債務者に対して確定日付のある証書によって通知が行われた場合、その対抗要件具備の効力は、将来において発生する債権についても及ぶ。


日本法制史民法

posted by N.T.Vita brevis, ars longa. Omnia vincit Amor.

法制史 憲法 民法 商法 会社法 行政法