賃貸借

賃貸借契約が賃借人の債務不履行により解除された場合、賃貸人は債務不履行を理由とする解除をもって転借人に対抗することができる[大判昭10.11.18]。

賃貸借の目的物が譲渡され、その譲受人に賃貸人である地位が移転したときは敷金返還債務は譲受人が承継する[605条の2第4項]。但し、承継される額は旧賃貸人に対する債務額を控除した残額である[最判昭44.7.17]。

賃借権の譲渡又は転貸を承諾しない家屋の賃貸人は、賃貸借契約を解除しなくても、譲受人又は転借人に対して明渡しを求めることができる[最判昭26.4.27]。

土地又は建物の賃借人は、第三者から賃借物に対する権利に基づいて明渡しを求められた場合には、それ以降、賃料の支払を拒絶することができる[最判昭50.4.25]。

土地上の建物の賃借人は、「土地の取得時効の完成によって直接利益を受ける者ではないから、右土地の所有権の取得時効を援用することはできない」[最判昭44.7.15]

借地上の建物賃借人は、「弁済をするについて正当な利益」を有する者に当たる[最判昭63.7.1]。

「賃借地上にある建物の売買契約が締結された場合においては、特別の事情のないかぎり、その売主は買主に対し建物の所有権とともにその敷地の賃借権をも譲渡したものと解すべきであり、そして、それに伴い、[略]特約または慣行がなくても、特別の事情のないかぎり、建物の売主は買主に対しその敷地の賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る義務を負う」[最判昭47.3.9]

土地賃貸人と賃借人との間において土地賃貸借契約を合意解除しても、土地賃貸人は、特別の事情がないかぎり、その効果を地上建物の賃借人に対抗できない[最判昭38.2.21]。

「およそ、賃貸借は、当事者相互の信頼関係を基礎とする継続的契約であるから、賃貸借の継続中に、当事者の一方に、その信頼関係を裏切って、賃貸借関係の継続を著しく困難ならしめるような不信行為のあった場合には、相手方は、賃貸借を将来に向かって、解除することができるものと解しなければならない。そうして、この場合には民法541条所定の催告は、これを必要としないものと解すべきである。」[最判昭27.4.25]


日本法制史民法

posted by N.T.Vita brevis, ars longa. Omnia vincit Amor.

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