第3節 法人ノ解散

第68条 法人ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス 
壱 定款又ハ寄附行為ヲ以テ定メタル解散事由ノ発生
弐 法人ノ目的タル事業ノ成功又ハ其成功ノ不能
参 破産
四 設立許可ノ取消
2 社団法人ハ前項ニ掲ケタル場合ノ外左ノ事由ニ因リテ解散ス 
壱 総会ノ決議
弐 社員ノ欠亡

第69条 社団法人ハ総社員ノ四分ノ三以上ノ承諾アルニ非サレハ解散ノ決議ヲ為スコトヲ得ス但定款ニ別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス

第70条 法人カ其債務ヲ完済スルコト能ハサルニ至リタルトキハ裁判所ハ理事若クハ債権者ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ破産ノ宣告ヲ為ス
2 前項ノ場合ニ於テ理事ハ直チニ破産宣告ノ請求ヲ為スコトヲ要ス

第71条 法人カ其目的以外ノ事業ヲ為シ又ハ設立ノ許可ヲ得タル条件若クハ主務官庁ノ監督上ノ命令ニ違反シ其他公益ヲ害スヘキ行為ヲ為シタル場合ニ於テ他ノ方法ニ依リ監督ノ目的ヲ達スルコト能ハザルトキハ主務官庁ハ其許可ヲ取消スコトヲ得正当ノ事由ナクシテ引続キ三年以上事業ヲ為サザルトキ亦同ジ

第72条 解散シタル法人ノ財産ハ定款又ハ寄附行為ヲ以テ指定シタル人ニ帰属ス
2 定款又ハ寄付行為ヲ以テ帰属権利者ヲ指定セス又ハ之ヲ指定スル方法ヲ定メサリシトキハ理事ハ主務官庁ノ許可ヲ得テ其法人ノ目的ニ類似セル目的ノ為メニ其財産ヲ処分スルコトヲ得但社団法人ニ在リテハ総会ノ決議ヲ経ルコトヲ要ス
3 前二項ノ規定ニ依リテ処分セラレサル財産ハ国庫ニ帰属ス

第73条 《清算法人》 解散シタル法人ハ清算ノ目的ノ範囲内ニ於テハ其清算ノ結了ニ至ルマテ尚ホ存続スルモノト看做ス

第74条 法人カ解散シタルトキハ破産ノ場合ヲ除ク外理事其清算人ト為ル但定款若クハ寄付行為ニ別段ノ定アルトキ又ハ総会ニ於テ他人ヲ選任シタルトキハ此限ニ在ラス

第75条 《裁判所による清算人の選任》 前条ノ規定ニ依リテ清算人タル者ナキトキ又ハ清算人ノ欠ケタル為メ損害ヲ生スル虞アルトキハ裁判所ハ利害関係人若クハ検察官ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ清算人ヲ選任スルコトヲ得

第76条 《清算人の解任》 重要ナル事由アルトキハ裁判所ハ利害関係人若クハ検察官ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ清算人ヲ解任スルコトヲ得

第77条 清算人ハ破産及ビ設立許可ノ取消ノ場合ヲ除ク外解散後主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間,其他ノ事務所ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ其氏名,住所及ヒ解散ノ原因,年月日ノ登記ヲ為シ且ツ之ヲ主務官庁ニ届出ツルコトヲ要ス
2 清算中ニ就職シタル清算人ハ就職後主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間,其他ノ事務所ノ所在地ニ於テハ三週間内ニ其氏名,住所ノ登記ヲ為シ且ツ之ヲ主務官庁ニ届出ツルコトヲ要ス
3 前項ノ規定ハ設立許可ノ取消ニ因ル解散ノ際ニ就職シタル清算人ニ之ヲ準用ス

第78条 清算人ノ職務左ノ如シ 
壱 現務ノ結了
弐 債権ノ取立及ヒ債務ノ弁済
参 残余財産ノ引渡 清算人ハ前項ノ職務ヲ行フ為メニ必要ナル一切ノ行為ヲ為スコトヲ得

第79条 清算人ハ其就職ノ日ヨリ二个月内ニ少クトモ三回ノ公告ヲ以テ債権者ニ対シ一定ノ期間内ニ其請求ノ申出ヲ為スヘキ旨ヲ催告スルコトヲ要ス但其期間ハ二个月ヲ下ルコトヲ得ス
2 前項ノ公告ニハ債権者カ期間内ニ申出ヲ為ササルトキハ其債権ハ清算ヨリ除斥セラルヘキ旨ヲ附記スルコトヲ要ス但清算人ハ知レタル債権者ヲ除斥スルコトヲ得ス
3 清算人ハ知レタル債権者ニハ各別ニ其申出ヲ催告スルコトヲ要ス

第80条 前条ノ期間後ニ申出テタル債権者ハ法人ノ債務完済ノ後未タ帰属権利者ニ引渡ササル財産ニ対シテノミ請求ヲ為スコトヲ得

第81条 清算中ニ法人ノ財産カ其債務ヲ完済スルニ不足ナルコト分明ナルニ至リタルトキハ清算人ハ直チニ破産宣告ノ請求ヲ為シテ其旨ヲ公告スルコトヲ要ス
2 清算人ハ破産管財人ニ其事務ヲ引渡シタルトキハ其任ヲ終ハリタルモノトス
3 本条ノ場合ニ於テ既ニ債権者ニ支払ヒ又ハ帰属権利者ニ引渡シタルモノアルトキハ破産管財人ハ之ヲ取戻スコトヲ得

第82条 法人ノ解散及ヒ清算ハ裁判所ノ監督ニ属ス
2 裁判所ハ何時ニテモ職権ヲ以テ前項ノ監督ニ必要ナル検査ヲ為スコトヲ得

第83条 清算カ結了シタルトキハ清算人ハ之ヲ主務官庁ニ届出ツルコトヲ要ス

第4節 補則

第83条ノ2 本章ニ定メタル主務官庁ノ権限ハ政令ノ定ムル所ニ依リ其全部又ハ一部ヲ国ニ所属スル行政庁ニ委任スルコトヲ得

第83条ノ3 本章ニ定メタル主務官庁ノ権限ニ属スル事務ハ政令ノ定ムル所ニ依リ都道府県ノ知事其他ノ執行機関ニ於テ其全部又ハ一部ヲ処理スルコトトスルコトヲ得
2 前項ノ場合ニ於テ主務官庁ハ政令ノ定ムル所二依リ法人ニ対スル監督上ノ命令又ハ設立許可ノ取消ニ付キ都道府県ノ執行機関ニ対シ指示ヲ為スコトヲ得
3 第1項ノ場合ニ於テ主務官庁ハ都道府県ノ執行機関ガ其事務ヲ処理スルニ当リテ依ルベキ基準ヲ定ムルコトヲ得
4 主務官庁ガ前項ノ基準ヲ定メタルトキハ之ヲ告示スルコトヲ要ス

第5節 罰則

第84条 法人ノ理事,監事又ハ清算人ハ左ノ場合ニ於テハ五十万円以下ノ過料ニ処セラル 
壱 本章ニ定メタル登記ヲ為スコトヲ怠リタルトキ
弐 第五十一条ノ規定ニ違反シ又ハ財産目録若クハ社員名簿ニ不正ノ記載ヲ為シタルトキ 
参 第67条又ハ第82条ノ場合ニ於テ主務官庁若クハ其権限ノ委任ヲ受ケタル行政庁又ハ裁判所ノ検査ヲ妨ケタルトキ
参ノ弐 主務官庁又ハ其権限ノ委任ヲ受ケタル行政庁ノ監督上ノ命令ニ違反シタルトキ 
四 官庁又ハ総会ニ対シ不実ノ申立ヲ為シ又ハ事実ヲ隠蔽シタルトキ 
五 第70条又ハ第81条ノ規定ニ反シ破産宣告ノ請求ヲ為スコトヲ怠リタルトキ 
六 第79条又ハ第81条ニ定メタル公告ヲ為スコトヲ怠リ又ハ不正ノ公告ヲ為シタルトキ

第84条ノ2 第34条ノ2ノ規定ニ違反シタル者ハ十万円以下ノ過料ニ処セラル