法律による行政の原理
法律による行政の原理は,行政活動を国民の代表者による法律に従わせることによって,国民の権利を守るという自由主義と,行政活動を法律によって統制するという民主主義的要請を根拠とする.
法律による行政の原理という基本原則はさらに3つに分けることができる.
法律の法規創造力 | 国民の権利義務に変動を及ぼす法規を創造するのは,国会が制定する法律によって独占[立法権の専権]されているものであって,行政権は法律による授権がない限り法規の創造は許されないという原則. |
法律の優位 | あらゆる行政活動は,法律の規定するところに違反してはならないという原則. |
法律の留保 | 一定の行政活動については,事前に法律[条例を含む]によって,その根拠が規定されていなければ行うことができない,という原則. |
法律の法規創造力は憲法における国会中心立法の原則[憲法41条]と同じ.
法律の優位は国会を国権の最高機関とする憲法41条を根拠とする.
行政実務においては,法律の留保について,法律の留保が及ぶ範囲は国民に義務を課し権利を制限する侵害行政に留まり,給付行政などは行政の自由度を高めることが国民の利益に資するため法律の根拠は必要ないとされる[侵害留保説].つまり,行政が国民にとってマイナスとなる事柄を一方的に[権力的に]決める場合には法律が必要ということになる.