国府台城
千葉は市川にある城.
国府台の周辺を私は密かに房総の鎌倉と呼んでいる.
ここは1564年に千葉を追放された千葉氏を擁立した北条氏康と里見義弘が激戦を繰り広げた場所であります.
ここは江戸川を眼下に控え第一級の要害の地になっている.北条軍は江戸川を渡った上で崖を這いあがらないと国府台城を攻めることは出来ない.
しかし,あろうことか北条軍は襲撃に成功し里見軍は崩壊.里見義弘自身も救援に駆け付けた土気城主の酒井胤治に救出されて命からがら館山に逃げ帰ってしまう.
あまりの戦闘の激しさゆえか亡霊伝説が伝えられている.
- 1454年:享徳の大乱
鎌倉公方足利成氏が関東管領上杉憲忠を暗殺.1455年には鎌倉公方足利成氏は古河に本拠地を移します.
この時,鎌倉御所の足利成氏を攻めて江ノ島に追いやったのが太田道灌の父親の太田道真.
足利成氏の側近中の側近が武田右馬助信長と里見左馬助義実.後に,武田信長は上総で,里見義実は安房で古河公方足利成氏を支えます. - 1455年:市河合戦
古河公方足利成氏与党の馬加康胤,小弓城主原胤房が千葉家当主の千葉介胤直を千葉城から追放.千葉介胤直らは市河城に籠城するも市河城も落城.千葉介胤直と弟・胤賢は自刃.千葉胤賢の子である実胤・自胤兄弟は武蔵国に落ち延び,扇谷上杉家の家宰である太田道灌の庇護を受けます.後に千葉実胤・自胤兄弟は太田道灌と豊島氏を挟み撃ちにして豊島氏を房総に追放することになります.
市河合戦の直後,古河公方側近の里見義実と武田信長が房総に進出します.高城氏が下総の歴史に登場するのも市河合戦の後です. - 1476年:長尾景春の乱勃発
山内上杉顕定が惣社長尾忠景を家宰にします.これに白井長尾景春が反発し挙兵.
豊島泰経・泰明も白井長尾景春に呼応. - 1477年:五十子陣崩壊
1457年に関東管領山内上杉房顕が古河公方足利成氏との戦いの前線基地として五十子の陣を造営.白井長尾景春がこれを攻めて山内上杉陣営を崩壊させます. - 同年:江古田・沼袋の戦い
石神井城主豊島泰経と弟の平塚城主豊島泰明が長尾景春に与して挙兵.太田道灌は千葉実胤・自胤兄弟とともに鎮圧. - 1478年:境根原の戦い
太田道灌が馬加(千葉)孝胤の討伐のために国府台城を築城.境根原で馬加(千葉)孝胤を敗走させます. - 1479年:臼井城の戦い
太田道灌の弟・太田図書助資忠が千葉自胤とともに,臼井城に馬加(千葉)孝胤を攻めます.臼井城は落城するも太田図書助資忠は討死します. - 1486年:太田道灌が扇谷上杉定正によって暗殺
- 1491年:堀越公方足利政知が死去
廃嫡されていた茶々丸が継母と異母弟を殺害.これに対して興国寺城主・北条早雲が堀越御所を制圧します. - 1517年:小弓城落城
原氏の小弓城を武田氏が攻略.
真里谷武田氏の武田恕鑑は足利義明を擁立し小弓公方として小弓城に入れます. - 1538年:第1次国府台合戦
原氏は小弓城の奪還を目指して,小弓公方義明の兄の第3代古河公方足利高基と,その子の第4代古河公方足利晴氏を担いだ上に北条氏綱とも同盟.
小弓公方義明と子の義純,里見義堯が国府台に侵攻.小弓公方方は椎津,堀江,村上,鹿島,堀口,正木,多賀の諸将を従えて北条軍に備えます.
北条軍は矢切の渡しから江戸川を渡河し小弓公方・里見連合軍を襲撃.小弓公方義明・義純父子が討死したことで戦いは北条軍の勝利に終わります.
終戦後,原氏は小弓城を奪還.原氏の重臣であった高城氏も勢力圏を広げます. - 1546年:河越夜戦
北条綱成が城将を務める河越城を関東管領山内上杉憲政,扇谷上杉上杉朝定,古河公方足利晴氏の連合軍が包囲.北条氏康の率いる救出軍と北条綱成の挟撃によって上杉朝定は討死.山内上杉憲政の越後逃亡へと繋がっていきます.また,古河公方足利晴氏は北条氏によって幽閉され,北条氏綱の娘の芳春院を母に持つ義氏が第5代古河公方に就任します. - 1564年:第2次国府台合戦
江戸城城将の太田康資が北条氏康に不満を抱いて同族の太田資正を通して上杉謙信に内通しようとして失敗.太田康資は太田資正のもとに逃走.
上杉謙信は里見義弘に太田康資・資正の救出を依頼.
里見義弘は国府台城に進撃.北条方であった千葉氏は単独迎撃は無理と判断して北条氏康に救援を依頼します.
江戸城将遠山綱景・富永直勝は太田康資離反の責任を感じて北条綱成の本隊に先駆けて矢切の渡しを渡り国府台城を攻撃するも反撃され,遠山綱景・富永直勝および舎人城主・舎人経忠が討死.
しかし,里見義弘が戦勝を喜んでいる最中に北条軍が国府台城を急襲.北条綱成は里見方の土岐為頼の離反に成功したため里見軍は混乱.重臣の正木信茂が討死するなど壊滅状態になります.
里見義弘は安西実元が身代わりとなり土気城主酒井胤治に救出されて安房に命からがら帰国を果たします.
posted by N.T.Vita brevis, ars longa. Omnia vincit Amor.