木曜日, 3月 03, 2005
懐かしい匂い
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祖母の命日。子供の頃、夏休みは祖母のところに数週間厄介になるというのが好例だった。
両親ともに仕事を持っていたから、学校が休みで家に居ても仕方が無いというか、子供だけでは心配だというのがあったのだろう。
数数巻単位で、しかも何年も繰り返されたから、祖母の家の周りのことは地元のように記憶にある。
そこは、北海道の片田舎。場所は随分と離れているけれども、北海道以外の人には富良野の風景を頭に浮かべてもらうと近い風景に囲まれている場所。
市街地までは車で1時間程度かかる。当然、厄介になっている最中に市街まで行くという機会はほとんどなかった。そういうわけで、市街の駅前の状況とか商店街などは全くと言って良いほど記憶にない。
鮮明に残っているのは街灯一つない夜の中で形容し難いほどに全天をお椀を伏せたように覆い被さっていた夜空。
キタキツネが顔を出したビート(砂糖大根)の畑。土の匂い。
小川での釣り。
自らの土地を離れざるを得なかった開拓者達の朽ちた家々。
それらを今は懐かしく思い出す。
<<一言主>>
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