水曜日, 4月 20, 2005

光明は波及するだろうか 

 新しいローマ法王が決まった。
意外と早かったなという印象と、色々な下馬評があったが、ヨハネ・パウロ2世の理論的支柱の役割を果たしていたというヨーゼフ・ラツィンガー枢機卿(78)の経歴からすると納得してしまう。
これほど早く決まったというのも、中々に珍しいという。
20世紀に8回あったコンクラーベ(法王選出会議)でのローマ法王選出日数は平均で3.25、投票回数では平均7.9回という。
それが2日、3回目の投票で決定。手元の資料を見ると、第二次大戦前夜の39年のピオ12世と78年のヨハネ・パウロ1世のときの2日間に並ぶ記録になる。
ヨハネ・パウロ2世の時ですら、3日間、8回の投票だ。
珍しいという点では、ヨハネ・パウロ2世がポーランド出身と非イタリア系であったのと同様にドイツ出身という点。
これだけ素早く決まったローマ法王だが、出身地のドイツの経済状況はどうも芳しくない。
ドイツ経済の動向を示すIfo景況指数の3月の値が前月比△1.4pt。
構造的要因を重く見る悲観的な見方とユーロ高と原油高による影響を懸念して、3月の景況感は一気に悪化。
設備投資は2004年末に受注が増加したものの、これはエアバス関連の受注による結果であり、設備投資の回復の兆しと受け取ることは出来ない。
加えて、輸出であげた利益を国内の設備投資に回すのではなくて、海外への設備投資に回しているのではないかと考えられている。
設備投資は2004年で4年連続の前年比減を記録したが、設備投資/GDP比率から考えると、既に十分なストック調整は2004年中に終わっている。


ちなみに、ドイツの GDP 、設備投資の前年同期比は次のようになっている。
設備投資はずっとマイナス。
2004.1q:1.6 | △0.9
2004.2q:1.9 | △1.0
2004.3q:1.2 | △1.3
2004.4q:1.5 | △0.2
出所:ユーロスタット、ドイツ連邦統計局

こうした状況の中で、ドイツの失業率はナチス前夜に匹敵とも形容されるような凄まじい状態となってしまっている。
2004年12月 | 10.8%
2005年 1月 | 12.1
2月 | 12.6
3月 | 12.5
出所:ドイツ連邦統計局

但し、明るい兆しもあるにはある。
例えば、消費財受注は4ヵ月連続して増加。
2004年12月 | 6.7%
2005年1月 | 8.5
2月 | 8.1
出所:ドイツ連邦統計局

ドイツと言えば、ヨーロッパの大国。ドイツの経済の動きがヨーロッパ経済を左右していると言っても大袈裟ではないだろう。

ドイツ出身のヨーゼフ・ラツィンガー枢機卿を第265代法王ベネディクト16世に選出した素早さと同じ位に、ドイツ経済は延長戦に縺れ込むことなくストライクを決めてくれるだろうか。

<<一言主>>
○弱い力と電磁気力は非常に高温の状態では電弱力という一つの力となる。

○ワインバーグ教授らは電磁気力と弱い力、強い力を統一する「標準理論」を提唱。ノーベル賞を受賞する。

○「標準理論」は重力を説明しない。

○ジョン・シュワルツらは「ひも理論」の欠点とされていた質量ゼロの粒子、光より速いタキオン、11次元などに取り組んだ。

○1973年、ジョン・シュワルツは質量ゼロの粒子は重量子(G)であると考えた。しかし、学会からは無視された。

○1984年、M.グリーンはJ.シュワルツは「ひも理論」の問題点とされた数学的矛盾を計算によって実際に確かめた。その結果、矛盾なく496という数値を導いた。これが「ひも理論」が「万物の理論」として世に知られる初めとなった。

○1919年、レオドール・カルツァは電磁気力もアインシュタインの考えた次元の歪みではないかと考えた。そして、そのためには隠された次元があるとした。

○クラインはカルツァの考え方を発展させ、次元には大きき伸びた次元と小さく縮まった次元があると考えた。

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