火曜日, 5月 10, 2005
我の領分、彼の領分
奥多摩に足を伸ばした。空気も澄んでいて気持ちが良い。
田舎育ちのせいか、どうも人口密度の高いところは息苦しさを感じてしまう。
それでも、どうしても、都心に行かなければならない用事が多々ある。そういう日々が続くと、奥多摩に向う。
今、住んでいる武蔵村山という場所も多摩湖の周辺に行けば、いわゆる里山というものがあって、それなりに自然が豊か。
ただ、気分一新という場合には、近くの自然より、程よく離れた自然が心地よい。見慣れてないものを見ることで、適度な刺激になるというものなのだろう。
ただ、花粉症を抱える身の上としては、杉林が気になる。
スギ、スギ、杉の植えすぎではないかと思いたくなるほどの杉。
これは戦後の植林の効果なのだろうか。もっとも、高尾山の薬王院の周辺では、「蛸杉」弘法大師の伝説の「飯盛杉」、「江川杉」に類するような信仰のための植林と本殿建替えなどの目的のための植林がなされているという。これは、ずっと昔から続く伝統的な植林だと言える。
奥多摩には数々の神聖な場所があるから、あの杉も、そういったものなのかもしれない。
伝統的なものを除いても、戦後の植林の凄まじさはどうしても気になる。花粉の季節が終わっても、杉を見ると鼻がムズムズとしてくる。パブロフの犬状態。
こうして、杉のことを書いている最中にも、クシャミを2回。
杉が気になるのは、実は、人間だけではないらしい。テレビコマーシャルに出てくるように猿も花粉症になるという話ではない。
日本列島にはクマが二種類生息している。
北海道に住んでいる、体長2メートル前後のヒグマ(Ursus arctos)。そして、本州を生活の場としている、体長1.5メートル前後のツキノワグマ(U.t.japonicus)
ツキノワグマは本州とは言っても、九州ではほぼ絶滅したのではないかと考えられている。そして、中国地方でも数が少ないとされる。
これはツキノワグマの食性が影響しているのだろう。
彼らは主として食肉性のヒグマとは違って、ブナやミズナラなどの広葉樹林の木の実を好んで食べるという。
日本列島の植生をみると、北海道は北方針・広混交林。東北から中部地方までが落葉広葉樹林。近畿、四国、中国、九州は常緑広葉樹林となっている。ブナやミズナラ(ブナ科コナラ属)は典型的な落葉広葉樹。
丁度、落葉広葉樹とツキノワグマの生息域は重なる。
そして杉との関係。
そう、落葉広葉樹を切ってしまったり、落葉広葉樹が生えていた跡に杉を植林したことで、ツキノワグマは本来の生息域を随分と狭められてしまったと言われている。人間が直接に森を切り開いて住宅地にしたこともツキノワグマにとっては痛手だが、森が残っていても杉の森になってしまったのではツキノワグマには大変なことになる。
東北ならば、まだ、広範囲に落葉広葉樹林が残っている。
深刻なのは、もともと落葉広葉樹が多くなかった地域に細々を生活していたツキノワグマ達。少ない落葉広葉樹が、より少なくなってしまうことで、豊富な食料を得ることが難しくなることは想像に難くない。
それが、幾つかの自然条件が重なって、木の実が少ないというような事態になってしまうと、もともと少なかった落葉広葉樹林が削られた上に、実りが少ないという状態になる。これでは、非常に臆病な性格とされるツキノワグマも危険を冒してでも人里まで下りて来なくては生きていくことが困難になってしまう。
大型連休の明けた9日、大阪の能勢町でツキノワグマが目撃され、町内の全ての小学校が集団下校する措置がとられたと伝えられている。
人間と動物、お互いの領分というかテリトリーを事前の了解なくして犯すことは、大きな危険を伴う。
====================
ぴっぴっぴっ 携帯電話が鳴っている
ちゅんちゅんちゅん 小さな雀(すずめ)が喋(しゃべ)ってる
もしもしもし ちゅんちゅんちゅん
もし ちゅん もし ちゅん もしもしもし
携帯電話が話してる
小さな雀(すずめ)と話してる
====================
<<一言主>>
○金沢の兼六園は、松平定信が宏大、幽邃、、人力、蒼古、水泉、眺望の六勝を兼ね備えるとして名付けた。
○日本三大名園とは、金沢の兼六園、岡山の後楽園、水戸の偕楽園。岡山の後楽園の夜間ライトアップに行ったことがある。朧げなること記憶に残れり。幽かなること脳裏に刻まれり。
○朧げ:「朧げ」にてはかく参り来なむや-宇津保(俊蔭)と使われると並である様を意味する。
○「宇津保物語」は10世紀後半ごろに源順(みなもとのしたごう)など複数の作者によって書かれた。
○「宇津保物語」の「うつぼ」とは物語中の一つの主人公仲忠が母と住んだ大杉の空洞のこと。
○かなづちの別名「玄翁(げんのう)」は南北朝時代に玄翁法師が下野国の那須野の殺生石を大きなかなづちで打ち砕いた故事から。
○玄翁法師が那須野で打ち砕いた殺生石は鳥羽院に憑いた玉藻前の化身。
○玉藻前はインド出身の九尾の狐が化けた絶世の美女。
○玉藻前は陰明師安倍泰成によって正体を暴かれた。
田舎育ちのせいか、どうも人口密度の高いところは息苦しさを感じてしまう。
それでも、どうしても、都心に行かなければならない用事が多々ある。そういう日々が続くと、奥多摩に向う。
今、住んでいる武蔵村山という場所も多摩湖の周辺に行けば、いわゆる里山というものがあって、それなりに自然が豊か。
ただ、気分一新という場合には、近くの自然より、程よく離れた自然が心地よい。見慣れてないものを見ることで、適度な刺激になるというものなのだろう。
ただ、花粉症を抱える身の上としては、杉林が気になる。
スギ、スギ、杉の植えすぎではないかと思いたくなるほどの杉。
これは戦後の植林の効果なのだろうか。もっとも、高尾山の薬王院の周辺では、「蛸杉」弘法大師の伝説の「飯盛杉」、「江川杉」に類するような信仰のための植林と本殿建替えなどの目的のための植林がなされているという。これは、ずっと昔から続く伝統的な植林だと言える。
奥多摩には数々の神聖な場所があるから、あの杉も、そういったものなのかもしれない。
伝統的なものを除いても、戦後の植林の凄まじさはどうしても気になる。花粉の季節が終わっても、杉を見ると鼻がムズムズとしてくる。パブロフの犬状態。
こうして、杉のことを書いている最中にも、クシャミを2回。
杉が気になるのは、実は、人間だけではないらしい。テレビコマーシャルに出てくるように猿も花粉症になるという話ではない。
日本列島にはクマが二種類生息している。
北海道に住んでいる、体長2メートル前後のヒグマ(Ursus arctos)。そして、本州を生活の場としている、体長1.5メートル前後のツキノワグマ(U.t.japonicus)
ツキノワグマは本州とは言っても、九州ではほぼ絶滅したのではないかと考えられている。そして、中国地方でも数が少ないとされる。
これはツキノワグマの食性が影響しているのだろう。
彼らは主として食肉性のヒグマとは違って、ブナやミズナラなどの広葉樹林の木の実を好んで食べるという。
日本列島の植生をみると、北海道は北方針・広混交林。東北から中部地方までが落葉広葉樹林。近畿、四国、中国、九州は常緑広葉樹林となっている。ブナやミズナラ(ブナ科コナラ属)は典型的な落葉広葉樹。
丁度、落葉広葉樹とツキノワグマの生息域は重なる。
そして杉との関係。
そう、落葉広葉樹を切ってしまったり、落葉広葉樹が生えていた跡に杉を植林したことで、ツキノワグマは本来の生息域を随分と狭められてしまったと言われている。人間が直接に森を切り開いて住宅地にしたこともツキノワグマにとっては痛手だが、森が残っていても杉の森になってしまったのではツキノワグマには大変なことになる。
東北ならば、まだ、広範囲に落葉広葉樹林が残っている。
深刻なのは、もともと落葉広葉樹が多くなかった地域に細々を生活していたツキノワグマ達。少ない落葉広葉樹が、より少なくなってしまうことで、豊富な食料を得ることが難しくなることは想像に難くない。
それが、幾つかの自然条件が重なって、木の実が少ないというような事態になってしまうと、もともと少なかった落葉広葉樹林が削られた上に、実りが少ないという状態になる。これでは、非常に臆病な性格とされるツキノワグマも危険を冒してでも人里まで下りて来なくては生きていくことが困難になってしまう。
大型連休の明けた9日、大阪の能勢町でツキノワグマが目撃され、町内の全ての小学校が集団下校する措置がとられたと伝えられている。
人間と動物、お互いの領分というかテリトリーを事前の了解なくして犯すことは、大きな危険を伴う。
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ぴっぴっぴっ 携帯電話が鳴っている
ちゅんちゅんちゅん 小さな雀(すずめ)が喋(しゃべ)ってる
もしもしもし ちゅんちゅんちゅん
もし ちゅん もし ちゅん もしもしもし
携帯電話が話してる
小さな雀(すずめ)と話してる
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<<一言主>>
○金沢の兼六園は、松平定信が宏大、幽邃、、人力、蒼古、水泉、眺望の六勝を兼ね備えるとして名付けた。
○日本三大名園とは、金沢の兼六園、岡山の後楽園、水戸の偕楽園。岡山の後楽園の夜間ライトアップに行ったことがある。朧げなること記憶に残れり。幽かなること脳裏に刻まれり。
○朧げ:「朧げ」にてはかく参り来なむや-宇津保(俊蔭)と使われると並である様を意味する。
○「宇津保物語」は10世紀後半ごろに源順(みなもとのしたごう)など複数の作者によって書かれた。
○「宇津保物語」の「うつぼ」とは物語中の一つの主人公仲忠が母と住んだ大杉の空洞のこと。
○かなづちの別名「玄翁(げんのう)」は南北朝時代に玄翁法師が下野国の那須野の殺生石を大きなかなづちで打ち砕いた故事から。
○玄翁法師が那須野で打ち砕いた殺生石は鳥羽院に憑いた玉藻前の化身。
○玉藻前はインド出身の九尾の狐が化けた絶世の美女。
○玉藻前は陰明師安倍泰成によって正体を暴かれた。