月曜日, 5月 16, 2005

根拠ある迷信 

 江戸の歴史は平安時代末期の武蔵七党の秩父党の中の江戸氏が本拠を構えたことに始まるとされている。江戸氏が館を構えたのは、現在の江戸城の城域の中に当るとされている。この館の跡地に、太田道灌が江戸城を築城。その跡地に、徳川家康が入って現在の東京の基礎が造られていく。
徳川家康が江戸に入った時には、江戸城は廃墟になっていたという。ただ、この点に関しては、少しの疑問があるのも事実。
というのは、徳川家康が江戸に入る少し前、つまり、豊臣秀吉による小田原征伐の前に、小田原の後北條氏と常陸の佐竹氏が江戸を争っていたという事実があるから。
太田道灌以降も江戸は重要な拠点の一つであって、打ち捨てられたというような土地ではなかった。そのことから、徳川家康が江戸に入った時に江戸城が廃墟に近かったということはないのではないかと。そう考えられるようになっている。
ところで、江戸城は武蔵七党の江戸氏が築城したことに始まるようなことを書いたが、江戸氏が本拠地を構えたのは、現在の江戸城の中ではなくて、どうももっと千葉よりの場所だったとも考えられている。
これは、江戸という地が、幾つかの大きな暴れ川を抱えていたことと関係している。暴れ川というのは、荒川、隅田川に、江戸川、利根川の4河川。
利根川は、今では、東京から離れた場所を流れているが、それは徳川時代の利根川東遷事業による。この事業によって明治時代までに、利根川は渡良瀬川と奥鬼怒川を繋いで銚子へと注ぐように付け替えられた。
また、現在の江戸川は利根川東遷の前の利根川水系にほぼ沿う形で新たに人工的に作られたもの。それ以前の江戸川は渡良瀬川水系で太日川(ふといかわ)と呼ばれていたという。ともあれ、こうした河川が度々氾濫する地というのが江戸だったわけだ。
当然、ここに本拠地を構えようとすると高台か氾濫の被害に遭わないような場所にしようと考えるのが自然。

河川の氾濫と、それによる湿地帯の広がりということを除くと、江戸という地域は実は風水的にはそれなりの条件が整っている。

丁度、源 頼朝以前の鎌倉を思い出す。鎌倉は三方を山に囲まれている上に、残りの一方は海に面している。鎌倉に外側から迫ろうとすると、切り通しと呼ばれる峻険で狭隘(きょうあい)な場所を抜けてこなくてはいけない。
まさに、鎌倉は戦略的に理想な地。これだけだと、そう思えてくる。ところが、この鎌倉は源 頼朝が入るまでは空白地だったという。誰もいなかった地であったからこそ頼朝が都市を築くことが出来たのだと。鎌倉党という豪族がいたが、彼らの拠点は、現在の鎌倉の地からは少し離れた相模国鎌倉郷村岡、現在の藤沢市村岡辺り。要は、水に囲まれた厳島神社のように聖域としては最適な地ではあったものの、人が住むというのには最適だとはいえなかったのだと考える向きがある。

江戸の話。江戸は北には秩父の山々、西には丹沢山系で囲まれている。東は暴れ川が守っているし、前には東京湾が広がる。平安京のような典型的な地ではないにしても、江戸の地は風水で言う所の竜(地下水流)が水を飲むための通り道に位置する。

だから、暴れ川を調教し、穴のあいている四方の守りに少し手を加えれば、理想の地となる。そして、事実、利根川を初めとする河川の改修と天海僧正による江戸城の鬼門への東叡山寛永寺の配置に始まり目黒不動(竜泉寺)、目赤不動(南谷寺)、目白不動(金乗寺)、目青不動(最勝寺)、目黄不動(永久寺)の「江戸五色不動」による呪術的な江戸鎮護が施された。

暴れ龍を河川改修と呪術で封じ込めたことになる。呪術で封じ込められたのは暴れ龍だけではない。

江戸庶民は鹿島大明神が要石で鯰(ナマズ)を押えている間は地震は起こらないと信じた。14日の神田祭で登場した要石で押さえつけられた大鯰も、寛永5(1793)年の神田祭の曳き物を再現したものという。

鯰(ナマズ)も封じ込まれた。
暴れ龍であれ鯰(ナマズ)であれ、江戸の地下には、何がしかの手段で押さえ込まなければならない魔物が蠢いている。昔の人々は、そう感じたのだろう。

最近、産業技術総合研究所が、関東平野西部の埼玉県鴻巣・川越・朝霞の間に、巨大なくぼみ「半地溝」があることを発見している。地震が起こると、窪みによって揺れが増幅される危険性があるという。

昔の人は暴れ川を龍に喩(たと)えた。地表を流れ氾濫を巻き起こす川だけではなく、地下を流れ狂う巨大な水流に暴れる龍を見た。
地表を流れる河川には改修によって治水を行い、どうすることも出来ない地下の水流に対しては呪術をもって人々に注意を促したと考えることも出来る。

鯰(ナマズ)というのは、関東平野のあちこちにあるという地下の巨大なくぼみ「半地溝」を喩(たと)えたものかもしれない。

<<一言主>>
○琵琶湖の名前の由来は、形が楽器の「琵琶」に似ているからという説がある。

○琵琶に良く似た中国の楽器で五弦があるが、頸の部分、棹の上端の天軫(てんじん)が後ろに曲がっていないという点で琵琶とは区別される。

○「合いの手を入れる」の「合いの手」とは「人の話や物事の進行の間に、活気づけるためにさしはさむ言葉や動作」のこと。

○北海道の面積は北方領土を含めて83,453.57平方キロメートル。

○北海道の人口は日本総人口の約4.5%の568万人。

○北海道の気候は、表日本型、裏日本型、太平洋側東部型、オホーツク型の4つからなる。

○本田美奈子は「本田美奈子.」と「.」付きに改名。ちなみに、仮面ライダーの藤岡弘、も「、」が付いている。

○北海道には、石狩、渡島、檜山、後志、空知、上川、留萌、宗谷、網走、胆振、日高、十勝、釧路、根室の14支庁がある。

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