減損会計 Impairment [SFAS 121]

 「減損会計とは、減価償却のように費用の配分という見地から行われるものじゃなくて、 資産の帳簿価額に回収可能性があるかどうかという点に着目した会計処理のことよね」

 「そうだね、例えば、国際会計基準では回収可能価額が帳簿価額を下回って いる場合に減損を認識して、回収可能価額まで帳簿価額つまり簿価を引き下げるんだ。ここで回収可能価額とは、正味売却価格と使用価値(見積将来 キャッシュフローの現在価値)のどちらか高い金額になる」

 「一方、米国の基準では、資産から生じる将来キャッシュ・フローを見積 もって、それが帳簿価額を下回る場合に減損を認識するわけね。この場合のキャッシュ・フローは割引前のキャッシュ・フローなるわ」

 「それで、減損が認識された場合には、公正評価額というか時価まで帳簿 価額を切り下げる。言っておくけど、固定資産については金融資産などと異なって、市場価格が入手できないよね。その場合には類似資産の価格やさ まざまな評価技法の結果、そうだね、例えば、見積将来キャッシュ・フローの現在価値なんかを考慮するわけ」

 「国際会計基準の場合は、つまり、こういうことかしら。えーと、資産の帳簿価額を回収するために は、いま売却してキャッシュを得るか、資産の使用とその後の処分からキャッシュを得るかしかないことになるわね。そのどちらか高い金額で回収でき ると考えるわけよね」

 「資産を継続して使用する場合には」

 「長期にわたっての回収になるから、当然、金利要素やリスクを反映させた 現在価値を用いなくてはいけないのね」

 「国際会計基準であろうと米国会計基準であろうと、引き下げ額は損益計算 書上で費用とされるね」

[石橋君] 「もう一度、米国の基準について纏めると、
[1]減損の認識
簿価と将来のキャッシュフロー(割引前支払利息控除前)を比較する(compare the carrying value and the future cash flow)。
[2]減損の測定
簿価が将来のキャッシュフローを下回る場合に、簿価と公正な評価額との差額を資産の評価損として計上(Impairment Loss = carrying value - Fair Value)。 公正な評価額(処分予定の資産については売却費用控除後の公正な評価額)とは市場価格が最善、しかし それが入手できない場合は将来予想キャッシュ・フローの現在価値などで見積もることになる。
ということですね」