デジタル・シネマ

2004年5月28日にコンテンツクリエーション・アンド・コミュニケーション学会(SCCC)の第1回年次大会が開催される。そこで、『スパイ・ゾルゲ』の非圧縮ディジタル上映が行われる。
1999年の『スターウォーズ・エピソードI』によってデジタルシネマの時代は幕を開けた。その技術はテキサス・インスツルメンツによるDLP(Digital Light Processing)シネマ(TM)によるもの。映写方法も全く異なり、ハードディスクから直接、映写機を通してスクリーンに上映される。
日本では『千と千尋の神隠し』が初めてのDLPシネマ(TM)上映。
『スパイ・ゾルゲ』の撮影で全編をデジタル撮影した篠田正浩監督は、「デジタル・フォトジェニー」という新しい映像製作を目指したという。そこにおいては映画は、ルネサンス期のレオナルド・ダ・ビンチ、ミケランジェロ、ラファエロなどの巨匠の絵画に類似するという。そして、映画監督はもう一度「偉大なる画家」に立ち戻る必要があるとする(スパイ・ゾルゲ....次世代のデジタルシネマ制作へ ...は筆者略)。
映像芸術として絵画の一つの流れは正確性を追及しカメラを生み出し、さらには写真芸術を生み出した。そして、そうした流れの中からありのままの動く映像を見てみたいという自然な欲求が頭をもたげ、それが映画へと繋がっていく。その流れが良い意味で、つまりより映画の持つ非現実の現実化、芸術性の深化という形を採ってルネサンスへと立ち戻っていこうとしているのかもしれない。
無声映画からトーキーに移るときには賛否両論があったという。それほどまでに当時はインパクトがあったということだし、表現方法にも変化が生じた。カラーへの移行もしかり。その意味では、CGの多用もしかりだろう。そして、CGの多用はデジタルシネマという方向へと向って進んでいる。今の段階でも、あっと言わせる映像で唸らせるようなストーリー、しかも、CG周りの技術が進んでいなければ出来なかっただろうという映像が多々ある。この先、これまで以上に進歩することだろう。現在の延長線で進むだけとも思えないので、何が起こるのか楽しみなところ。

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