13ゴースト
このお屋敷、ゴーストハンターのサイラスが建てたもの。実はサイラスはオキュラリス(地獄の目)を開くバシリウスの装置として屋敷を建てた。そして、バシリウスの装置を動かすためには12体のゴーストが必要だったというのがゴーストハントの実際。しかし、12体を捕獲した時点でサイラスは命を落としてしまう(ということにする)。
そして、サイラスの屋敷は遺言によって、サイラスの甥のアーサー・クリティコスの一家に。アーサーは妻を火事で失って2人の子供と悲嘆に暮れていた。そこに降って湧いた遺産相続話。
屋敷の中はガラス張りという異様さの他に、近未来的な外観とは対照的にラテン語の呪文あり日本の甲冑ありと前近代と近未来が同居しているというコントラストがあちこちに。12のゴーストを閉じ込めているのがキューブという容器だが、そのキューブを封じている屋敷も将にキューブであって閉じ込められているのがゴーストなのかアーサー達なのか分からなくなる。後で分かることだけれども、サイラスはアーサー達をも閉じ込めるように仕掛けを施している。というわけで、二重のキューブ構造になっている。虎穴に入らずんば遺産得ずだけれどもミイラ採りがのミイラ。
さて、人の目からはゴーストは特殊なサングラスをしなければ見ることは出来ない。ガラスには呪文がありゴーストはガラスをすり抜けるということは出来ない。唯一、観客だけが部屋中がガラス張りであるということであちらとこちらとを行き来することが出来る。
しかし、まぁ、どうして登場するゴーストはどれも異形なのだろう。アーサーの妻までも異形。ただ、これは見る側の意識、というか登場人物の意識の問題だということがラストでアーサー一家が抱き合う前に現れた妻のゴーストが異形ではないことがわかる。
他人の過去を見ることの出来るデニスが未来を見ることの出来るオキュラリスの装置に閉じ込められるところを含めて様々なシーンにコントラストが仕込まれているが、そんなことを気にしなくても楽しめる。
2001年米国、監督:スティーヴ・ベック
出演:トニー・シャローブ、エンベス・デーヴィッツ