Georges de La Tour (1593-1652)

芸術家というのは報われないもの。
生前は見向きもされなかったのに、死んでから一躍天才と持ち上げられた人は案外と多いもの。
ゴッホなんかはその典型例と言える。
だけど、逆のケース、つまり、生前は天才と持て囃されたんだけど、死んだ後は完全に忘れ去られてしまって、「誰それ?」という分類に括られてしまうという場合もある。
ラ・トゥールは、丁度、その中間といったところ。
生前も有名だったし、今でも有名。
でも、評価の中休みがあった画家。
17世紀のフランスで活躍して20世紀初頭に再発見された。
その画風から「夜の画家」なんて呼ばれることもある。そうそう、今ならパリは芸術の都だし、芸術の最先端を行っているっていうイメージがあるのだけど、17世紀のフランスっていうのはまだまだ最先端っていう感じではなかった。
っていうのはともかく、非常に古風な芸術を重んじていた当時のフランスで、なんとあの殺人の罪に問われて波乱万丈の人生を強烈に送ったカラバッジョの影響を受けたとされている。
でもね、ラ・トゥールの作品を見ていると、どうも激情のカラバッジョの影響が見えてこない。こう思うのは、ボクだけかな?
ロレーヌで生まれたって言われ、パン職人の息子だったらしいけど、何せ、18世紀は忘れ去られていたから、悲しいかな詳しいことは分からない。
でも、繰り返すけど、結構人気があった画家だったということは確か。
何ていたって、ルイ13世公認画家なんだから。
もう、お墨付きバリバリって、そういうことでしょ。
ちょっと、ややこしいんだけど、息子のエティエンヌ・ド・ラ・トゥールも画家で、しかも、貴族にまで成り上がっている。
あっ、成り上がっているっていう表現は良くないかも。でも、貴族に取り立てられた後は絵なんかどうも書いていないようだし、画家だったってことも隠そうとしたなんて言われている。
それが本当なら、まぁ、成り上がったっていう表現も許されるでしょ。
それは、息子の話。