宮城県栗原市鶯沢北郷,栗原市栗駒沼倉古館などにあり.
蘇武[140BCE/60BCE]というと前漢の武帝が交渉のために匈奴に派遣され,そのまま19年もの間抑留された末に帰国を果たした人物として知られる.蘇武という名字は,もしかすると,この歴史上の人物である蘇武に肖ったものなのかもしれない.字を離れて「そぶ」という読みを考えると,「そぶ」は「さび」[錆・佐備・佐比]や「しぶ」[渋]と同系とされる.つまり,酸化鉄を含む赤茶色の水が流れる川や土地を指すという.また,この赤茶色の水はそぶ水と呼ばれる.愛知県愛西市町方町の領内川右岸に位置する字祖父池[そぶいけ],愛知県稲沢市祖父江町祖父江などが地名としてある.祖父江・祖文江・曽布川・曽武川の各氏と同じく蘇武氏もこれらの地名に由来するものと考えられる.
奈良県橿原市今井町には,聖徳太子ゆかりの蘇武の井[そぶのい]という井戸がある.その地はかつて高市郡遊部[あそぶべ]と呼ばれた地であり,そこを流れている飛鳥川は遊部川と呼ばれていることから,蘇武は遊部が転訛したものと考えられている.なお,近くの飛鳥川に架かる橋は蘇武橋という.
なお,鶯沢北郷近くの栗駒中野玉ノ井には佐藤繁内が本拠とした玉ノ井館があった.栗駒沼倉古館には源義経との関係のあった沼倉小次郎高次の万代館があった.万代館の南方の判官森は源義経の遺骨を葬ったと伝わる.万代館には岩ノ目館も隣接する.
デザイン名字.