懐かしきこと

目を静かに瞑ってみる

記憶にはないが 見覚えのある風景

窓から風がふぅと入ってくる

頬を撫でる風に 時は忽ちに遡る

目は開けない 閉じたまま

頬を撫でた風が顔からすぅと全身を包み込む

風が時を運んでくる

父母が 祖父母が嗅いだであろう香りが立ち込める

今は無くなってしまったもの 消えてしまった事柄

風とともに忽ちに瞼の奥に拡がる

まだ目は開けない しばらく心地よさに浸っていよう