チョントヴァーリ (1853 - 1919)
「この絵から幻想的な雰囲気が出ていない?」
「チョントバーリの絵はその精神構造と密接に関わっているって言われているわね。
うん、雰囲気がある。はまる人ははまってしまうような感じ」
「チョントバーリが生きている間に、そう思ってくれる人が沢山いたら良かったのに。
苦労人でもあるね。なんたって、絵を描く前に14年間、絵の勉強資金を稼ぐために働いている」
「だから、画家として絵を描いた期間というのは短くて、他の画家と比較すると作品も決して豊富とは言えないわ。
100ほどの絵画と20ほどのデッサンといったところかしら」
「お金の目処がついて、絵に取り組み始めたのは彼が41歳のときでしょ」
「何人かの人に師事しているけど、すぐに自分の画風を編み出している。1895年から積極的に風景画を描くために各地に足を伸ばしているしね」
「展覧会はパリで1907年に初めて開いたのを皮切りに1年毎に3回開いている。最初の展覧会の後はレバノンに行ってミステリアスな雰囲気を醸し出している象徴的絵画を描いているね」
「その辺りまではそこそこだったのかもね。でも、2回目、3回目の展覧会で満足のいく評価を得られなかったことはかなりショックだったんでしょう。
ナポリでの『Riding along the Beach』以降、描いて描いて描きまくるものの、孤独と無理解からやがて精神を病んでいく」
「終には、完全に精神を病んでしまうけど、それでもシュールなスケッチだけは描きつづけたというところに、彼の芸術家魂を感じるよ」