クーパーズ・フェリーの有茎尖頭器

アメリカのアイダホ州にあるクーパーズ・フェリー遺跡[Cooper’s Ferry]で発掘された有茎尖頭器[stemmed points].

1997年,ローレン.G.デイヴィス[Loren G. Davis]による発掘によって,4つの有茎尖頭器と9つの石器が発見された.放射性炭素年代測定の結果は,16,560年から15,280年前.

この発掘により,南北アメリカ大陸に人類が定住した時期は最終氷期のベーリング地峡に無氷回廊が出現して以降とする考え方[クローヴィス・ファースト仮説]が覆された.つまり,北アメリカ大陸にやってきた人類は1万3000年前に繁栄したクローヴィス文化[Clovis culture,リャノ文化複合;Llano complex]の担い手ではない可能性が出てきたのである.時代論争はあるものの,人類の最初のアメリカ大陸到達は太平洋沿岸の海岸沿いに行われたことの証拠であるとされている.

発行：2024-01-14.

Reference

• LOREN G. DAVIS,et al.,"Late Upper Paleolithic occupation at Cooper’s Ferry, Idaho, USA, ~16,000 years ago," Science, 30 Aug 2019 Vol 365, Issue 6456 pp. 891-897, DOI:10.1126/science.aax9830