[Majster Pavol z Levoče(1475/1480-1537/1542) ]
「中世のスロヴァキアを代表する芸術家。
だけど、どこで産まれたのかも分からないし、何時亡くなったのかもはっきりとは分からない。つまり、謎に包まれた人物だね」
「姓さえ分かっていないんでしょ。
活躍した場所はLevocaなんだけど、出身はKrakowとも言われているし、イタリア北部からスロヴェキアにやってきたんだっていう説もあるわ」
「Levocaで活躍したというのだけは、後の文献で明らかになっているわけだ。もっとも、それでさえ、彼の活躍した時代からかなり後になってから。
活躍、活躍って言っているけど、1527年にLevocaの議員になっている。いつの時代でも、そうかもしれないけど、作品で豊かな生活をおくるということは望めなかったみたいだね」
「でも、Levocaの外からやってきたのに議員という地位まで得ているというのは、彼が町の有力者の娘と結婚したからでしょうね。この有力者の力もあって、という表現は適切ではないかもしれないけど、少なくとも1506年までには彼の名前は有名になっているということが知られている」
「まぁ、その有力者の親父さんのおかげで自分の工房を持てたということは事実に近いんだろうね」
「作風から言うと、彼はVit StwoszというKrakowで15世紀末に活躍した芸術家の弟子なんじゃないかっていうことも指摘されているわ。
もっとも、これもはっきりとそうだとは言い切れないようではあるみたい」
「彼自身のことは良く分かっていないけど、彼が残した作風というのはスロヴァキアの芸術に大きな流れを作ったということだけは確かだね」