昭陵六駿
 「昭陵というのは唐朝の2代皇帝太宗李世民を祀る陵墓で、唐代随一の美術家閏立徳の手により設計されたと言われている。
そこを飾る石刻芸術が昭陵六駿」
 「六駿というのは太宗とともに戦場を疾駆した愛馬達のことね。
レリーフを見てみると、何も解説することはないけど、すっごく躍動的」
 「実は、この六駿は一度盗まれるという災難に遭っている。
1920年のことだけど、幸いにも発見され、ペンシルバニア大学博物館に2つが展示されている。残りは西安の碑林石刻芸術博物館」
 「六駿のレリーフには、作られた当時、馬の名称なんかが書かれていたとされているけど、盗まれたときに割れたりしたお陰ですっかり失われてしまっている。
でも、こちらも、幸いにも、北宗の遊師雄の手による石碑に詳細な解説が刻まれていて、六駿の名などが現在に伝えられているわね」
 「太宗の治世は貞観の治などと呼ばれて非常に安定した政治が行われたことで知られている。その功績から、陵墓すら天下の名陵と呼ばれている。そうした、いわば威徳が六駿のレリーフを災難から救ったんだと考えると神秘的じゃない」