先天的と後天的

生物の姿かたちというのは遺伝子で決まるのかというと、どうやらそうでもないらしい。

全遺伝情報解析いわゆるゲノム解析で分かったことだけれども、何と人とハエの遺伝子の数というのはそれほど変わらないのだとか。

人とチンパンジーに至ってはわずかな差しかない。でも、まぁ、人とチンパンジーなら姿が似ているから、わずかな差が大きく影響したのかなとも思える。

ところが、ハエと人の遺伝子の数が大差ないというのは一体どういうことなのだろう。同じ程度なら同じような姿かたちになっても良いではないか。そう思ってしまう。

実は、生物の設計図である遺伝子から姿かたちになるまでにはメチル基という物質が大きく関係しているのだという。このメチル基が遺伝子に覆いかぶさっていると、遺伝子に書き込まれた情報が活かされないらしい。スイッチの役割を果たしていると言ったら良いかもしれない。

だから、生物の姿かたちがどうなるのかということは、遺伝子とメチル基の組み合わせを見てみないとならないということになる。

遺伝子という先天的な要素だけではなくて、メチル基などの化学物質のに代表される後天的な作用によって遺伝子の働きが調整されるメカニズムのことはエピジェネティクスと呼ばれる。

先天的ではなくて後天的に姿形が決まるという考え方は面白い。

そういえば、ティグリス・ユーフラテス河のメソポタミア文明、ナイル川のエジプト文明、インダス川のインダス文明、黄河の黄河文明という四大文明は、年間平均気温が20度前後で、雨が少なく乾燥地域、大きな河という条件では一致しているけれども、それぞれの文明は独自性を持っている。

同じ地理的条件、これは遺伝情報みたいなものと言ってもいいだろう。それがほぼ同じなのに、実際の文明は大きく異なる。

考えてみれば、その自然に立ち向かったりした人々は様々だったわけだから当然と言えば当然。でも、世界中には同じような条件を満たした地域というのは、四大文明だけではなかったということを考えると実に不思議不思議。


This page is powered by Blogger. Isn't yours?

京と鎌倉の宇佐小路のショッピング おこしやす楽天