三十六歌仙絵巻 伊勢

藤原信実の作品。伊勢(872頃-938)は平安時代の女流歌人。伊勢守藤原継蔭の娘であることから伊勢と呼ばれた。宇多天皇の后である藤原温子に仕えた後、宇多天皇の皇子敦慶親王と結ばれた。古今和歌集に「春霞 立つを見捨てて ゆく雁は 花なき里に 住みやならへる」という歌がある。「ならへる」は「慣らへ・り」。「り」は「あり」を語源としていて、四段動詞の命令形に付く。完了か存続を表現する助動詞(ラ変型)。この歌の場合は「ずっと住み慣れているに違いないですね」という意味。私には理解できませんわという心か。

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