葛西橋

永井荷風は断腸亭日乗にこう書いている。

「船堀橋の下流にまた一長橋あり、是亦震災前には見ざりしものの如し、日は既に 没し橋上には燈火の輝くを見たれど、夕陽の空猶あかるく、風は死したる如く思ひの外に暖かなれば、再び堤上を歩みて行くに、あたり全く暗くなりし時かの橋の袂に辿りつきぬ。欄干の電燈をたよりに老眼鏡をかけて見るに、葛西橋の三字をよみ得たり」


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