無記
無記(avyaakata、avyaakRta)とは、事実の背後にあるだろう本質、根本的な事柄にのような形而上学(Metaphysics)的な問題について判断を示さない立場のこと。ブッダことガウタマ・シッダールタ(Gautama siddhaartha[BC560-BC480])死後の100年の間に展開された原始仏教がとった立場。『マッジマ・ニカーヤ(Majjhima-Nika^ya、中部経典、中阿含経)』第63経「小マールンキャ経」によるとガウタマ・シッダールタも、生命と身体は同一かどうか、死後の世界は存在するのかといった問題に関しては何も語らなかったという。
なぜなら、そのような問いに対する見解は所詮はドグマ(独断)に過ぎないと考えていたからに他ならない。加えて、そうした問題について知ったとしても個人が自分の抱える苦しみから解放されることはないというのである。
様々な現象を事細かに分割して分類して名前を付けたとしても何も解決などしてはいない。原始仏教哲学のとった立場は西洋哲学とは違って初めから思索的というよりは実践的な色彩があったということになる。
但し、ガウタマ・シッダールタが全く形而上学的な問題に沈黙していたかというと決してそうではないということが知られている。