常楽寺石造多宝塔
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信州の鎌倉、別所温泉にある常楽寺の本堂の裏手にある鎌倉時代の多宝塔。安山岩で出来ていて高さが2.74メートルもある。建立されたのは1262(弘長2)年。1263年と言えば浄土真宗の開祖の親鸞が亡くなった年であり、北条時頼が亡くなる前年に当たる。
石造多宝塔は少なく重要文化財に指定されているのは常楽寺と滋賀県の小菩提寺の2基のみ。笠と裳階が鎌倉時代の典型。なお、脇には1924(大正13)年に大島屋旅館裏の水道工事で発見された鎌倉時代の作と思われる多宝塔、多層塔、五輪塔、宝篋印塔が発見され、その後、散逸したものを常楽寺に集めたという。薄暗いという雰囲気も手伝って、多宝塔群の周辺だけは鎌倉時代の佇まい。
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上田市指定の石造多層塔