在函館旧ロシア領事館


函館の坂に面して立つ。函館におけるロシア領事館の歴史は、安政元(1855)年の日露和親条約によって、安政5年9月に初代領事ゴシケーヴィチが着任したことに始まる。当初は、実行寺で事務取扱い、万延元(1860)年からは領事館を建設する(現ハリストス正教会敷地内)。しかし、その領事館は火災で消失。この地に新しく建設された。着工は明治36(1903)年だが、日露戦争による日露関係悪化により工事は延期。ようやく明治39年に完成する。しかし、その後も不運なロシア領事館は明治40年大火により再び焼失。翌年に再び再建されたのが現在目にすることの出来る建物ということになる。第二次大戦中もソ連領事館として業務を行っていたものの、終戦間際の昭和44年10月に最後のソ連領事ザベーリエフの帰国により役割を終えた。
とは言っても、建物の歴史に幕が降りた訳ではない。閉鎖されたままで利用されていなかった旧領事館は昭和39年に再び日の目を見る。外務省から函館市に移管され「道南青年の家」として、1996年に「函館市青少年研修センター」が開設されるまで現役として使用された。
残念ながら内部に入ることは出来なかったが、道から眺めるだけでも帝政ロシアの香りを函館に伝える非常に美しい建物だった。

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