モーメント母関数

離散型確率変数 $X$ と 変数 $\theta$ に対して、モーメント母関数 $M(\theta)$ は以下のように定義される.\[M(\theta) = E[e^{\theta X}]\]

$M(\theta)$ を $\theta$ で微分すると、\[M'(\theta)=E[X]\cdot\frac{1}{1!}+E[X^{2}]\cdot\frac{2\theta}{2!}+E[X^{3}]\cdot\frac{3\theta^{2}}{3!}+\cdots\]\[=E[X]+E[X^{2}]\cdot\frac{\theta}{2!}+E[X^{3}]\cdot\frac{\theta^{2}}{2!}+\cdots\]$\theta=0$ を代入すると、\[M'(0)=E[X]\]となる.これはモーメント母関数の1階微分が期待値になることを示している.

また、$M(\theta)$ を $\theta$ で2階微分すると、\[M''(\theta)=E[X^{2}]\cdot\frac{1}{1!}+E[X^{3}]\cdot\frac{2\theta}{2!}+E[X^{4}]\cdot\frac{3\theta^{2}}{3!}+\cdots\]\[=E[X^{2}]+E[X^{3}]\cdot\frac{\theta}{1!}+E[X^{4}]\cdot\frac{\theta^{2}}{2!}+\cdots\]先と同じように、$\theta=0$ を代入すると、\[M''(0)=E[X^{2}]\]となる.ここで、確率変数 $X$ の分散を考えると、\[\sigma^{2}=E[X^{2}]-E[X]^{2}\]である.この式に先のモーメント母関数の結果を代入すると、\[\sigma^{2}=E[X^{2}]-E[X]^{2}=M''(0)-M'(0)^{2}\]となる.すなわち、確率変数 $X$ の期待値も分散も共にモーメント母関数で表現出来るということになる.