$t$分布
t-distribution.フィッシャーと並ぶ推測統計学の巨匠William Sealy Gosset(1876-1937)が小標本の問題に取り組む過程で見出した分布.標本数が多くなると正規分布に従う.また、フィッシャーによって回帰分布に応用された.$X$と$Y$が互いに独立で、$X$が$N(0,1)$に従い、$Y$が自由度$n$の$\chi^{2}$分布に従うとき、\[\frac{X}{\sqrt{\frac{Y}{n}}}\]は$t$分布に従う.
一般に、$N(\mu,\sigma^{2})$における標本平均において\[\frac{X-\mu}{\frac{\sigma}{\sqrt{n}}}\]は$N(0,1)$に従う.ここで、$\sigma^{2}$が既知ではない場合に、標本分散$s^{2}$を$\sigma^{2}$の代わりに用いると\[\frac{X-\mu}{\frac{s}{\sqrt{n}}}\]は正規分布には従わない.
ところが、\[Y=\frac{ns^{2}}{\sigma^{2}}=\frac{1}{\sigma^{2}}\sum^{n}_{i=1}(X_{i}-\bar{X})^{2}\]は$\chi^{2}(n-1)$に従う.
また、\[X=\frac{\bar{X}-\mu}{\frac{\sigma}{\sqrt{n}}}\]は$N(0,1)$に従う.
両辺の$\sigma$が消去されて$t$分布が導出される.