[民法第2編 物権]
第7章 留置権
第295条 他人ノ物ノ占有者カ其物ニ関シテ生シタル債権ヲ有スルトキハ其債権ノ弁済ヲ受クルマテ其物ヲ留置スルコトヲ得但其債権カ弁済期ニ在ラサルトキハ此限ニ在ラス
2 前項ノ規定ハ占有カ不法行為ニ因リテ始マリタル場合ニハ之ヲ適用セス
第296条 留置権者ハ債権ノ全部ノ弁済ヲ受クルマテハ留置物ノ全部ニ付キ其権利ヲ行フコトヲ得
第297条 留置権者ハ留置物ヨリ生スル果実ヲ収取シ他ノ債権者ニ先チテ之ヲ其債権ノ弁済ニ充当スルコトヲ得
2 前項ノ果実ハ先ツ之ヲ債権ノ利息ニ充当シ尚ホ余剰アルトキハ之ヲ元本ニ充当スルコトヲ要ス
第298条 留置権者ハ善良ナル管理者ノ注意ヲ以テ留置物ヲ占有スルコトヲ要ス
2 留置権者ハ債務者ノ承諾ナクシテ留置物ノ使用若クハ賃貸ヲ為シ又ハ之ヲ担保ニ供スルコトヲ得ス但其物ノ保存ニ必要ナル使用ヲ為スハ此限ニ在ラス
3 留置権者カ前二項ノ規定ニ違反シタルトキハ債務者ハ留置権ノ消滅ヲ請求スルコトヲ得
第299条 留置権者カ留置物ニ付キ必要費ヲ出タシタルトキハ所有者ヲシテ其償還ヲ為サシムルコトヲ得
2 留置権者カ留置物ニ付キ有益費ヲ出タシタルトキハ其価格ノ増加カ現存スル場合ニ限リ所有者ノ選択ニ従ヒ其費シタル金額又ハ増価額ヲ償還セシムルコトヲ得但裁判所ハ所有者ノ請求ニ因リ之ニ相当ノ期限ヲ許与スルコトヲ得
第300条 留置権ノ行使ハ債権ノ消滅時効ノ進行ヲ妨ケス
第301条 債務者ハ相当ノ担保ヲ供シテ留置権ノ消滅ヲ請求スルコトヲ得
第302条 留置権ハ占有ノ喪失ニ因リテ消滅ス但第298条第2項ノ規定ニ依リ賃貸又ハ質入ヲ為シタル場合ハ此限ニ在ラス