第6章 相続人の不存在
第951条 相続人のあることが明かでないときは、相続財産は、これを法人とする。
第952条 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によつて、相続財産の管理人を選任しなければならない。
2 家庭裁判所は、遅滞なく管理人の選任を公告しなければならない。
第953条 第27条乃至第29条の規定は、相続財産の管理人にこれを準用する。
第954条 管理人は、相続債権者又は受遺者の請求があるときは、これに相続財産の状況を報告しなければならない。
第955条 相続人のあることが明かになつたときは、法人は、存立しなかつたものとみなす。但し、管理人がその権限内でした行為の効力を妨げない。
第956条 管理人の代理権は、相続人が相続の承認をした時に消滅する。
2 前項の場合には、管理人は、遅滞なく相続人に対して管理の計算をしなければならない。
第957条 第952条第2項に定める公告があつた後2箇月以内に相続人のあることが明かにならなかつたときは、管理人は、遅滞なく1切の相続債権者及び受遺者に対し、1定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。但し、その期間は、2箇月を下ることができない。
2 第79条第2項、第3項及び第928条乃至第935条の規定は、前項の場合にこれを準用する。但し、第932条但書の規定は、この限りでない。
第958条 前条第1項の期間の満了後、なお、相続人のあることが明かでないときは、家庭裁判所は、管理人又は検察官の請求によつて、相続人があるならば1定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。但し、その期間は6箇月を下ることができない。
第958条の2 前条の期間内に相続人である権利を主張する者がないときは、相続人並びに管理人に知れなかつた相続債権者及び受遺者は、その権利を行うことができない。
第958条の3 前条の場合において相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があつた者の請求によつて、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は1部を与えることができる。
2 前項の請求は、第958条の期間の満了後3箇月以内に、これをしなければならない。
第959条 前条の規定によつて処分されなかつた相続財産は、国庫に帰属する。この場合には、第956条第2項の規定を準用する。