『制度の確立』 このような自然状態における人間は、理性によって、自然権の法規を命じる『自然法』を発見するとされている。 「人々が外敵の侵入から、あるいは相互の権利侵害から身を守り、そしてみずからの労働と大地から得る収穫によって、自分自身を養い、快適な生活を送ってゆくことを可能にするのは、この公共的な権力である。この権力を確立する唯一の道は、すべての人の意志を多数決によって一つの意志に結集できるよう、一個人あるいは合議体に、かれらの持つあらゆる力と強さとを譲り渡してしまうことである。」(『世界の名著28 ホッブズ』) このようなホッブスの想定にもかかわらず、万人が闘争を繰り広げるという自然状態から主権の創立という方向には進まず、自然状態に留まるということになる(『囚人のジレンマ』)。 しかし、目には目を(tit-for-tat)戦略では、「協力には協力を、非協力には非協力をという戦略」が支配的となり、その繰り返しの結果として協力解が導かれ、個人が社会的なルールを形成していくことになる。 この戦略をとり、個人を社会へと向けるためには、個人に信頼を持たせるような個人の出現が鍵となる。
アブナー・グライフの分類
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