甘露の井
「これが甘露の井かぁ。
少し小さい感じがするけど。浄智寺の山門の前というから間違いはなさそう」
「ここよ。間違いなし。
今でも水が湧いているのか良く分からないけどね。
ほら、ここに、ちゃんと、『鎌倉十井の一 甘露の井』って書いてあるじゃない」
「あっ、本当だ。
これが、新編鎌倉志に『甘露の井は開山塔(蔵雲庵と名く。仏源の塔には非ず。 真応禅師の塔なり。)の後に有る清泉を云うなり。門外左の道端に、清水湧き出でる。 或いは是をも甘露の井と云うなり。鎌倉十井の一なり。』って書かれてある井戸か」
「そういうのを空で言えるのは感心するけど、甘露の井というのは、この浄智寺の門の外の池にあるものと境内の開山塔の後ろにあるものと2つあるって言われているのは知っている?」
「2つあるんだ。
でも、距離としては近いじゃない。そうするとさぁ、2つの井戸は地下でつながっているなんてこともありそうだよね」