野ノ宮
嵐山から少し歩いた嵯峨野の入り口に位置する。源氏物語所縁の神社として知られており、ここが嵯峨野巡りの小旅行の出発点。
ここへは何度も足を運んでいる。何度赴いても雰囲気が良い。良く時代劇やサスペンス物に出てくる竹林はこのすぐそば。
この神社は伊勢神宮の斉宮の皇女が伊勢に行く前に潔斎をしたところであり、ために祭神は天照大神となっている。
もともとは、潔斎を行う野宮は帝の即位毎に定められていたと言われる。その慣習も平安時代の初期には廃れ、位置が固定されるようになり、そして社が建立されるようになる。その社が野ノ宮神社ということになる。そう言われてみると、辺り一面に、それまでの嵐山の喧騒を離れた荘厳な雰囲気が漂っている。神を感じるというべきだろうか。社が現在のものよりも大きければそうした意識を持つことはなかっただろう。神々しい雰囲気を醸し出すには程よい大きさということだろうか。
嵯峨天皇皇女仁子内親王の代から、この地が使用されるようになったとされるも、室町の南北朝の兵乱によって、そもそもの斎宮制度が途絶え社のみが残された。社のみとなっても、しばらくは後奈良天皇、中御門天皇などから大覚寺宮に綸旨が出されたように皇室の保護を受けていたという。
黒木鳥居と小柴垣に代表される現代の聖地は昔からの聖地であり、物語の上での聖地でもあったことは源氏物語「賢木の巻」における描写で伺える。そのためであろうか、この神社には多くの若い女性が詣でている。