特定物

特定物とは
具体的取引にあたり,当事者が,その個性に着眼して取引した物
特定物債権
特定物の引渡を目的とする債権のこと
ここでいう引渡には,次の2つがあります.
  1. 占有の移転
  2. 占有+所有権の移転
  1. 特定物債権の債務者は,引渡をなすまで善良なる管理者の注意(善管注意)をもっ  て保管する必要があります(§400,善管注意義務).
  2. 「善管注意義務」とは,行為者の具体的な注意能力に関係なく,行為者の職業,社 会的・経済的地位に応じて一般に要求される程度の注意義務のことをいいます.
  3. [注]これに対して,行為者の注意能力に応じた具体的な注意義務を「自己の財産におけると同一の注意義務」(§659,§940)というように言います.

抽象的過失
善管注意義務を怠ること
具体的過失
自己のためにすると同一の注意義務を怠ること
軽過失
抽象的過失+具体的過失

財産法では,原則として善管注意義務が課せられる。善管注意義務を尽くさなければ債務不履行責任(§415)を負うことになります.

    善管注意義務を負う者の具体例  
  1. 留置権者(§298一1)
  2.  
  3. 質権者(§350 - §298一1)
  4.  
  5. 特定物引渡の義務を負う者(§400)
  6. (例)特定物の売主,賃借人など

     
  7. 受任者(§644)
  8.  
  9. 後見監督人(§852 - §644)
  10.  
  11. 後見人(§869 - §644)
  12.  
  13. 遺言執行者(§1012-11 - §644)
  14.  
  15. 事務管理者

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