10月11日(金曜日)

 2日続けて夢の話を書いたので書く機会を逸してしまったけれども、
日本人の快挙があった。ノーベル賞だ。
 2人というのは凄い。
 これだけでも凄いのに、凄いはもう一つの凄いを連れてはるばる日本にやってきた。
 島津製作所の田中さんの化学賞の受賞、これには自らのことのように興奮を覚えた。
 同じ興奮を感じたのは私、ただ1人ではなかったはず、だ。
 まず、田中さんが40代というのが第一の驚き。
 それから、田中さんが研究者とはいえ、サラリーマンであったということに驚き。
 加えて、田中さんは研究者とは言っても、ドクターではないという。
博士号を持っているわけでも、大学時代からの研究をずっと続けていたというわけでもない。博士号を持っていないというだけではなくて、修士号すら持たれてはいないという。加えて、肩書きも課長の下の主任だと。
 普通のサラリーマンが、どこにでもいるようなサラリーマンがノーベル賞をとった。ノーベル賞をとるくらいだから、実際は決して普通のサラリーマンではないのだけれども、私の周りの人たちはそう受け止めていた。
 普通の人たちがわが事のように、それまでの自分を褒め称えるかのように、そして、これからの自分を励ますように、田中さんの受賞を喜んでいた。
 これは、今の悩める経済社会にあって、大きな影響力を与えたように思えてならない。
 こういうものは広く伝染するようで、目の前にいるラーメン屋のおやじも、疲れきった表情で電車に揺られているスーツ姿もなんだか日ごろよりも数段輝いて見えた。
 もっともっとこういう雰囲気が伝染していけば、日本もなかなか捨てたものではない気がしてきた。

[臥牛庵主人]

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