ドドドドドー。ドドドドドー。
朝からどうやら元気のいい音がする。
その音の前触れはあくまでもあくまでも平行して地面に延びる2本のライン。
元気のいい音は、人の声を打ち消して。
全く面識もありはしないというのに、それでも容赦なく。ドドドドドー。
あたかも、都会に出ていた兄貴が伯父が、溢れんばかりの都会の品を、溢れんばかりの元気とともに、ドドドドドー。
押し寄せてくる波のごとくに、ドドドドドー。
都会に出ていた兄貴が伯父が突然に我が家に帰り、我が家をまるで我が家とするがごとくに押し寄せる。
しかし、彼らは兄貴ではない、伯父でもない。
ましてや遠い親戚でもありはしない。
心配しているといって、心配そうな顔をして、実は心配ごとを両手に抱えて、スキップを踏んでやってくる世話焼き人でもありはしない。
しかし、確実にドドドドドー。
それは、確実に家の境界を我が家の境界をいとも簡単に乗り越えて、突き破ってやってきた。
おはようの挨拶もありはしない。
突然やってきて、ドカンと腰を下ろし、ドドドドドー。
心地よい眠りを、穏やかな朝の始まりを、自らの調べに合わさせて。
大きな手で地面を掘り起こし、しきがみたちに旗をふらせ、ドドドドドー。
地団駄を大きく踏み鳴らし、ドドドドドー。ドドドドドー。
[臥牛庵主人]
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