「何か言ってよ」
いつまでも続く2本の線はどこまでも平行を保ったまま。
 「うん」
2本の線は頑なまでに平行であることを止めようとはしない。
永遠に平行であるということは有り得ない。局所的に平行には見えても、自らの存在の重みがある。
その気づかないほどのかすかな重みで互いを引き付けあう。
引き寄せあう。平行は平行であり続けることはない。
 「あっ」
ゆがみは歪みではなく。
しなりは撓りではなく。

ゆがみは、しなりは、平行が平行線であることを止めようとするメッセージ。
これから始まる共鳴の予感。
平行が平行であることを止めようとするかすかなハーモニー。
 「えっ、何」
いつまでも続く平行は決して有り得ない。
2つが1つとなるための平行。交わることが予定されている平行。

[臥牛庵主人]